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特集2タイトル
2004.12.24

大本氏
大本氏
 本誌でも以前特集したITSSユーザ協会(会長・唐津一東海大教授)が、12月15日に設立総会を開き、正式に発足しました。この趣旨に賛同する企業約50社と個人が参画しており、中心となるのは日本オラクル、NECソフト、コンピュータ・アソシエイツ、シーエーシー、シスコシステムズ、日立システムアンドサービス、富士通、松下電器産業などの民間企業。経済産業省、情報処理振興事業協会(IPA)、情報サービス産業協会(JISA)などの 団体が支援しています。

 経済産業省が策定する「ITスキル標準」の普及と実用化に取り組む非営利組織の活動内容と、企業人事や人材育成をITSS指標に当てはめる仕組みについて、協会の準備室担当、日本オラクルの大本修嗣氏にインタビューしました。


Q.正式な活動を開始されたITSSユーザ協会ですが、具体的には現在どのような活動をされていますか?
A.活動自体は9月頃から、先行タスクフォースとしてITSSレベルに沿ったスキル定義や仮説立案、ツールの検証などを行っていました。このたび協会として正式に発足したのは活動を組織化し、活動ロードマップに基づいて役割ごとのワーキンググループ、分科会とも呼びますが、それらのさらに具体的で現場に密着した活動を強化しようとしたものです。特に、スキル定義の標準化とスキルを評価するスキルアセッサー制度を立ち上げるという狙いがあります。

ITSSユーザー協会の活動一覧
ITSSユーザー協会の活動一覧
 分科会の中の実証・研究ワーキンググループではスキル定義の議論と実証をはかり、参照モデルを使ったスキル管理の実践などを行います。評価手法ワーキンググループでは企業のITSSレベルを監査するアセスメント手法を開発し、またその評価ができるアセッサーの人材像を定義し、認定制度や育成手順を確立することを目的としています。教育研修ワーキンググループでは研修事例の収集とその統計分析・評価を行い、ITSSレベルに沿ったスキルマップとトレーニングをリンクさせて人材育成のためのトレーニング品質向上に貢献することが目的となっています。

 企業で教育研修を実施する際、ただ上から決められたものを受けさせるだけでは受講者にとっては知識の習得が主目的となってしまい、将来のキャリアパスに必要なスキルはあまり身につきません。個々人のスキルに応じたキャリアパスが明確となって、その中で目標を定めれば自ずと必要なトレーニングが浮かび上がり、明確な目標達成に向けて個人のモチベーションも上がって研修効果も格段に上がるはずです。
Q.協会の活動の軸ともなっているSSI-ITSSというツールについて、その仕組みと利用法を教えていただけますか。
A.SSI(Standard Skill Inventory)は、もともと日本オラクル社内で人事や社員のスキル管理に利用していたOESSというシステムをITSSの枠組みに当てはめて、特にスキル項目を汎用化させたもので、キャリアパスやスキルの体系化・明確化を実現します。

マネージャによる評価レベルの入力
マネージャによる評価レベルの入力
 個人が質問に答えて自分のスキルを申告し入力するモードと、管理者がレベル評価を入力するモード、さらに第三者が公平にみて評価を修正するモードの3種類があり、それぞれの権限に応じてシステムを使用できる仕組みになっています。情報が揃うと分野ごとの個人のスキルレベルの認定条件が詳細に表示され、ITSSの職種・分野・レベルに応じたキャリアパスを視覚的に設定できます。また要求されている足りないスキル、Gapに対する研修情報も画面上で提供されます。この研修情報を1ベンダーに偏らず広く公平に集めて取り扱えるようにすることが現状の課題のひとつです。
Q.このSSI は会社に属さない個人でも利用できるのでしょうか?
ITSSスキルレベルの認定結果
ITSSスキルレベルの認定結果
A.はい。ASPサービスですので正規の登録をすればインターネットで誰でも利用できます。管理者側のデータがなくても個人の入力モードだけでキャリアパスの設定や研修情報の閲覧は可能です。今個人で利用されようとしている方は、派遣会社での登録者スキル管理に利用するための検証をしたり、キャリアコンサルタントの方が仕事に結び付けて利用する検討をしていたりします。
Q.SSI は企業の人事考課にも利用できますか?
A.可能です。実際に人事システムと連携しているケースはまだありませんが、SSIの情報を人事側に送って同一管理したり、一部システム連携を図ろうとしている企業もあります。

 ただし、SSI はあくまでスキルインベントリーであり、個人のスキルを査定する仕組みではありません。スキル評価をどこかでした上でその情報を管理・分析・利用できるようになるのです。ですから市販のスキル評価ツールとの連携や情報共有が必要になっています。
 
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