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特集1:「仕事がうまくいくコミュニケーションの技術」出版記念特別インタビュー IT教育コンサルタント芦屋広太氏が語る「仕事がうまくいくコミュニケーション」とは
IT教育コンサルタント 芦屋 広太(プロフィール
ネクストエデュケーションシンクのメールマガジン「NET通信」で大好評連載中の"芦屋広太の人を動かす言葉"、そして、氏が連載するeラーニングマガジン「現場の事例で学ぶ ヒューマン・マネジメントのテクニック」が一冊の本になりました。PHP研究所から3月24日に「仕事がうまくいくコミュニケーションの技術」として発売されました。編集部では、出版にあたって新たに書き下ろしを終えられたばかりの芦屋広太氏を訪ね、インタビューをいたしました。

 編集部: このたびは「仕事がうまくいくコミュニケーションの技術」を出版されましたね。
 芦屋氏: はい、3月24日に発売になりました。
 編集部: 早速ですが、今回は本書ができたきっかけや経緯などについてお伺いしたいと思います。まず、芦屋先生と弊社ネクストエデュケーションシンクが出会うことになったきっかけについてお聞かせいただけますか。
芦屋氏: 私はもともとコミュニケーションやリーダーシップなどの、いわゆるヒューマンスキルと呼ばれるものを効率的、効果的に向上させる教育や教材がつくれないものかと常々考えておりました。しかし、私は企業の企画マンで、自由に活動できる時間も限られており、自分1人でこの試みを実現するには難しいと思いました。そこで、パートナーが必要だと感じ、いろいろな教育会社を回ったのですが、当時私の考えることが目新しかったためか、なかなか理解してもらえませんでした。そこで、先進的な教育を行なっている教育会社――特にベンチャー企業が自由度があっていいだろうと思って探していたところ、たまたま知人から御社の話を聞いたのです。御社の社長である斉藤実氏と早速お会いしたところ、すぐに意気投合しまして「一緒にやっていきましょう!」という話になりました。2年半ほど前のことです。
編集部: そこでまず、インターネット媒体である「NET通信」や「eラーニングマガジン」で連載を開始されたわけですね。
芦屋氏: そうです。
編集部: "人を動かす言葉"、そして「現場の事例で学ぶ ヒューマン・マネジメントのテクニック」では、「コミュニケーション」や「リーダー
シップ」、「マネジメント」というキーワードを切り口に、トータルにヒューマンスキルを説かれていらっしゃいますが、何故いま「ヒューマンスキル」なのでしょうか。
芦屋氏: 例えば、同じ仕事をやってもうまくやる人とそうでない人がいます。そういうことを現場で実際に見て何故だろうといつも思っていました。知識量が違うのでしょうか。しかし、よく見比べてみてもどうもそのようには見えない。見えないけれども明らかに差がある。なにか目に見えにくいけれども、「もう1つの大きなスキル」があるのではないか――それが、世間ではコンセプチュアルスキルやヒューマンスキルといわれているものではないかと思いました。そして、そういったスキルが仕事の成否を分ける決定的なスキル、とくにリーダーシップをとっていく仕事では大変重要なスキルであると考えたのです。これは、自分自身の経験ですが、大規模なシステム統合の仕事がありまして、自分の会社以外の人を率いなければならないときに痛感しました。そして、自分は最初うまく率いることができませんでした。しかし、身近にできる人がいました。目には見えにくいけれども他社をうまくコントロールするノウハウ、ある種の知識体系があると直感したのです。状況が状況でしたので、それをなんとか効率的にすばやく確実に身に付けたかった。
編集部: しかし、それはなかなか難しいですよね。例えば、先輩から後輩に少しずつ時間をかけて口伝えられていくもの、飲み屋で上司に処世術のように聞くもの、OJTの中で身を持って体験してようやく理解できるものではないですか。
芦屋氏: 以前はそうでした。しかし、私はそれをまず目に見えるように体系化することが必要ではないかと思いました。そして、せっかくITの時代になったのですから、こういったスキル体系を1万人でも100万人でも一瞬で伝えたい、そして日本において世界に伍する人材を育てたかったのです。今回は、書籍とオンライン診断システムとのフュージョンという新しい試みによってそれが可能となりました。コミュニケーションのセルフチェックを本書を読む前と読後に実施することで可視化してギャップを客観的に認識することができるようになり、効果的なスキルアップが非常に多くの人数で一度にできるようになったのです。
編集部: 目に見えないものを目に見えるようにして、しかも体系化することについては大変なご苦労があったと思いますが……。
芦屋氏: 確かに苦労しました(苦笑)。一番苦労したのが「論理性」です。例えば、情報収集するときの声かけとしていろいろと方法が考えられますが、状況によってよりよい声のかけ方があるものです。それを松下幸之助のような方がおっしゃっているような、昔からいいといわれている方便を使って言うことは誰にでも言えます。格言のようなもので経験上いいんじゃないのかとか、経験した人が「やはり松下幸之助のいっていることはいい」というのはそれはそれでいいのですが、いまの若い人にはわからないのです。何故こうするとうまくいくのかということを「説明しきる」ことが私にとっての大きな課題でした。そこで、実際にどういう言葉をいえばどう感じるか、感動するかを業務の中で詳細に記録していきました。メモしていきました。――自分が気づいたこと、他の人が会議を成功(説得)させたときの言葉、こういったことをすべて記録して法則化していったのです。そして、こういうことを言うと「気づき」というのが起こるのだなと徐々に分かるようになっていきました。だから、私の書くものは実際に"起きたこと"です。
編集部: 編集部にも、芦屋先生の書くものはリアリティがあって読ませると数多くの反響があります。
芦屋氏: ありがたいお話です。とくに「リアリティがある」という評価は嬉しいですね。実は、2番目に苦労した点が「より具体的、具象的に伝えるにはどうしたらいいか」ということなのです。いったいどう表現したらより正確に効率よく伝えることができるのか。小説の体裁など、いろいろ試行錯誤した時期を経て、最終的に「会話型コラム」という文体に行きつきました。
編集部: 「会話型コラム」ですか。
芦屋氏: 私が勝手にそう呼んでいるだけなのですが(笑)。よく読者から言われるのが「情景が浮かぶ」ということなのです。ヒューマンスキルのような一見とらえどころのないものは、立体的にする、イメージを喚起させるように表現しないと伝わらないのです。要は字面だけ追っても駄目で、たとえば、相手の話を聞きましょう、聞くことが大事だという風によく言われて、よく聞いて質問をしましょうということがたくさんのビジネス書に書いてあるのですけれども、「ではどういう風に聞けばいいの?」ということがあります。だから、実際に誰かが聞いている情景とか具体的な聞き方、本当に聞いている情景を表現したかった、それができるのが「会話型コラム」です。
編集部: 確かにほかの方にはなかなか書けない印象があります。芦屋先生のオリジナリティですね。その場にあたかも居合わせているような体験ができる、映画を見て、共有体験をして、あたかもその主人公になったような気になる、それと同じように、こういうヒューマンスキルというのは、教えて知識としてこういうものだよといっても、なかなか頭脳に定着しない、字面で覚えようとしても定着しない。そこで、本当に自分のスキルとして身に付けるためには、やっぱりそういう体験があって、たとえば失敗して、初めてそれは痛いことなのだということがわかる、あるいは別のシチュエーションで褒められて嬉しくなる。やっぱりそういう表現で共有体験をもたないと、まず理解ができないと思います。
芦屋氏: そういういわば疑似体験の中で、ある言葉が感情に結びついて失敗したとか、悔しいとか、弱ったとか、そういうことで「身体にスキルとして定着していくのだ」と思うのです。共感を呼び起こす表現です。「会話型コラム」は、こころよくヒューマンスキルを理解できる秘訣なのではないかなと思います。
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