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特集2:小誌編集長 Mr.サイトウが直撃インタビュー!日本のITに未来はあるのか。加速する受験生の「工学部離れ」を検証する。前編
谷口哲也氏【グラフ4】をご覧ください。これは、国公立大学「工」学系志願者の減少傾向が、その特定の分野で集中的におきているかどうかを調査したものです。ITという視点から見てみますと、「電気・電子」「通信・情報」が下降傾向にありますね。【グラフ5】は私立大の傾向ですが、「電気・電子」「通信・情報」の下降傾向はさらに酷くなります。

Mr.サイトウ近年の受験生や受験生の進路選択の傾向を教えてください。

 谷口哲也氏実際に河合塾運営サイトの高校生会員にアンケートをとりましたところ、"大学・短大のどの学部に進学したいと考えていますか"という問いには、「医学部系」が最も多く14.2%でした。これに、医、歯、薬、保健・介護などの医療系を合計すると、回答者の約25%がこれらの学系を志望しています。これに対して「工学部系」は9.9%と1割を切りました。人材という観点から言うと、より優秀な人材は前者のほうへ行く可能性が高いですね。

 Mr.サイトウそうですね。それにしても、「工学部」への志望者がこれだけ減ってきてしまったのは、どういった原因が考えられるでしょうか。

 谷口哲也氏これはあくまで推測ですが、まずIT業界の不況イメージがあります。そして、就職の窓口は広いものの、企業におけるプログラマーやSEの使い捨てイメージですね。これは非常に大きいものがあると考えられます。某匿名掲示板をあげるまでもなく、インターネットで調べれば、ITの仕事がどれだけ過酷であるかはすぐにわかりますし、年齢が行ったときに大丈夫なのかという不安もあると思われます。

 Mr.サイトウ確かに現在ITの仕事は、3K(きつい、きつい、きつい)と言われているようです。

 谷口哲也氏さらに、今は何をやるにもコンピュータは使いますから、特別なものではなくなったということもあると思います。それに、現在は共通科目としてITはどの大学でも学べますし……。また、最近やたらと「情報」という言葉のつく学部や学科が増えてきているのも一因です。理系を選択した受験生にしてみれば、せっかく苦労して数Vや物理までやったのだから、文系と一緒にされたような分野に進みたくない気持ちもあるでしょう。

 Mr.サイトウなるほど。

 谷口哲也氏また、そもそも大学という場で、将来的な先取り研究や先端的なコンピュータやシステムについてきちんと学べるのだろうかということもあるようです。これは、就職すれば企業が教えるといっています。また、こういう分野については専門学校のほうがずっと進んでいるのでは、と考えているのかもしれません。

 Mr.サイトウ確かに即戦力という視点から見ると専門学校でものをつくってきた方のほうが有利かもしれません。

 谷口哲也氏そして、最後に決定的なのが、現在の受験生のご両親や高校教員の理解不足です。これは仕方のないことで、いまの両親や教員が学生だった頃にはITというのはメジャーではなかったからです。また、両親のいずれかが、たまたま同窓会でITを仕事としている方から話を聞くと、やはり「仕事がつらい」という言葉が返ってくるそうです。

 Mr.サイトウ実は、IT業界を含む産業界では、主に新卒採用・第二新卒採用の点で、現在の受験生や大学生の気持ち、そして学力を含めた能力というものが現在どういう状態にあるのかということは非常に関心事でございまして、特に、情報処理の分野の学生というのが段々少なくなってきているというのは身に染みてわかっております。非常に採用難、言ってしまえば取り合いになってきているという状況です。産業界、とくにIT業界においては、何らかの施策、アプローチが急務であると思われます。次回は、この点について意見をお伺いしたいと考えております。
次回につづく



■谷口 哲也(たにぐち てつや)氏プロフィール
谷口哲也氏 学校法人河合塾 教育研究部 統括チーフ。昭和36年佐賀県生まれ。九州大学教育学部卒業後、河合塾職員として受験生を指導。1998年より大学コンサルタントとして、マスコミ、受験情報誌、入試研究会などを通じて高校・受験生に対する提言を行う。また、国・公・私を問わず、全国の大学教・職員を対象とした講演活動や学生募集・大学改革に関する提言も行う。2005年より現職。

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