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株式会社インストラクショナル デザイン 代表取締役 中原 孝子
インストラクショナル・デザイン国内事情
 日本でインストラクショナル デザイン(以下、ID)がやっと注目され始めたのが2年ほど前、e-ラーニングの関係者から、と理解しておりますが、なぜIDが注目されたのでしょうか?e-ラーニングを提供する側が、e-ラーニングという「ラーニング」をユーザーにしてもらうためには、自主的に学んでもらうための理論や学習者心理を捕らえた「質のよい」学習構造を備えていなければラーニングとしての利用や定着がないことに気づいたからだと思います。
 そのような気づきから、昨年、e-ラーニングコンソーシアムによるIDのコースや、先進学習基盤協議会(ALIC)などの実証実験によるIDのコースなどが実施され、IDに対する理解やIDを必要と考える人たちが増えてきました。e-ラーニングデザインのための基礎がやっと広まり始めた段階といっても良いかもしれません。

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 しかし、IDは、決してe-ラーニングデザインのためだけのものではありませんし、また、e-ラーニングを導入する組織だけに必要な知識や技術でもありません。IDは、研修構築のファンダメンタル=基盤として、より多くの人がその基本的な考え方を見につけることが望まれると思います。また、ID=e-ラーニングを成功させるマジックではありません。「必要最低条件」と考えたほうがよいでしょう。つまり、今、日本では、やっとその条件の第一歩が普及し始めたところです。「IDの具体的な手法を学んだこと=組織におけるe-ラーニング浸透のソリューション」ではありません。e-ラーニング導入や研修構築の様々なステップでの考え方をいかにそれぞれのステップに適応していくか、という「実践」「実施」での応用ができるかどうかが、今後のe-ラーニング普及とともに、IDを本当に活用できるようになるキーだと思います。単なるe-ラーニングのトレンドではなく、企業の人材育成戦略を考える上での必要条件としの定着が望まれます。

海外トレンド「パフォマンス実現のためのID」
 「インストラクショナル デザイン」の考え方の発祥の地アメリカはもちろんのこと、オーストラリア、また、アジアでも早くからe-ラーニングを取り入れている韓国やシンガポール、マレーシアなどでは、IDは、自然にe-ラーニング普及とともに導入されています。e-ラーニング制作会社には当然のことながら、大手の企業においてもIDの知識を持った人を研修のファンクションの一部と捉えているところもあります。英語圏以外のヨーロッパでは、「インストラクショナル デザイン」という言葉ではなかなか通じないようですが、「教育の工学的デザイン」やe-ラーニング(特に同期型と非同期型のブレンディング)を使った教育などをいかにファシリテートするかといった部分への展開など、企業研修のアプローチのための基本的なデザインとしてその応用範囲が広がっているようです。つまり、グローバルレベルでは、「IDの基本」の段階から、次のステップへ移行している、と言っても過言ではないでしょう。

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 例えば、アメリカ合衆国などでは、コーポレートユニバーシティを企画運営する人たち、CLOなどと呼ばれるひとには、「ファンダメンタル」としてIDの知識とその考え方を応用した組織運営の仕方が求められます。また、大きな企業などでは、専門のインストラクショナル デザイナーを抱えるところも少なくありません。専門のインストラクショナル デザイナーを抱えることができない場合は、コンサルタント契約をする、またはそのファンクションを専門の会社にアウトソースする、といった形態で、しっかりとIDが研修デザイン全体に取り入れられています。

 ファンダメンタルとしてのIDがすでに定着していることを前提に、次に注目されているのが「パフォマンス」です。研修の最終目的が、企業の人材のプロダクティビティの向上と、最終的な「パフォマンス」を達成することであるとするならば、(1)「研修」が必要とされている部署や人材に期待されるパフォマンスは何かを明確にする、(2)そのパフォマンスを導くために現場に直結した研修方法をデザインする、といった日本のOJTにも似た「パフォマンスベースインストラクショナル デザイン」というデザインも考えられています。

 ただし、日本のOJTと決定的に違うのは、その「指導」の仕方や目標とされる「パフォマンス」に沿っての研修プロセスや評価項目などが、IDによって、しっかりと定められていることです。つまり「では、後は現場で学んでください」という「やりっぱなし」、もしくは、「人材戦略的な方向性を示さないままに、研修の責任を現場に押し付け」にしてしまっているようなOJTとは違います。その上で成り立っているのが、「研修構築には、常にインストラクショナル デザインが基盤としてある」パフォマンスベースインストラクショナル デザインではないでしょうか。
 
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