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特集3タイトル

HRR(株)による総合検査SPI2のCBT化の取り組み

 日本テスト学会(http://www.jartest.jp/)の事例研究会で報告されたCBT(Computer-based testing)の事例紹介第2段である。前編では東京女子医科大学医学部による共用試験CBTを紹介した。後編では、既に実績を積み上げているHRR(株)による総合検査SPI2のCBT化への取り組みを紹介する。

SPI2の受検者画面(デモ画面より)
SPI2の受検者画面(デモ画面より)

 総合検査SPIは、1974年に当時の日本リクルートセンター(現リクルート)社のテスト部で開発されたマークシート方式の「適性検査」である。現在はSPI2として、リクルート子会社のHRR株式会社(http://www.hrr.co.jp/index.html)により開発提供されている。
 SPIの正式名は Synthetic Personality Inventory という。現在、この検査を主に新卒採用選考場面で利用している企業は約6千社に及ぶ。

 総合検査SPI2は能力適性検査と性格適性検査の2下位検査で構成されている。能力適性検査では言語的理解、論理的思考、数量的処理から成る基礎能力を測る。性格適性検査は行動的側面、意欲的側面、情緒的側面を測る。就職活動を行う学生が苦労させられ、対策本などで話題とされているのは、おもに能力適性検査のほうである。

 SPI2は経営人事用に用途を特化させて開発されており、採用選考、配置配属、昇進昇格、育成などの場面に適用されることを想定されている。また分析的に数値化した情報を複数の側面から集めることにより人物の総合的な理解をめざし、「信頼性」「妥当性」「標準性」をベースとした科学性を重視して品質の維持・改善につとめている。

■SPIのCBT化へのあゆみ
項目固定多段階テスト方式(階層型)

 HRR(株)では1963年の創業以来、適性テストの開発と研究に取り組んでいる。SPIがCBTと結びついた最初は1984年で、初代CATS(Computer Assisted Testing System)が当時のリクルート人材センター(現リクルートエイブリック)へ限定提供された。出題方式は項目固定の多段階型で、直近の回答の正誤により難易度別に分けられた出題項目の階層を移動するものであった。

 その後1998年より大きく進化し、実際の運用が始まる。出題方式は項目プールを擁する項目可変型の適応型テストとなり、インターフェースが改良され、マウス入力に対応するようになる。適応型テストとは受検者ごとにそのレベルに応じた難易度の項目を出題する新しいテストの仕組みである。HRR(株)はこの頃から、自社での新卒採用にCBT版SPIの使用を開始した。

項目可変型逐次テスト方式

 2000年にリリースされたHRR-CBTは機能的な完成形で、出題項目の選択方法など実践面での工夫がなされている。インハウス(客先設置)型のサービス提供も始まるが、この頃はまだスタンドアローン型で、インターネットによる問題配信や結果報告はなかった。

 2002年からはR-Prometric社のテストセンターでサーバー・クライアント型での展開を開始し、受検者は大幅に増加する。その後ユーザーインターフェイスの改良など、受検者に配慮した機能改善が施される。例えば適応型テストでは出題項目数が受検者により異なるが、先が見えない受検者の不安を解消するために、テストの進捗状況や時間の経過が表示されるようになっている。

 
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