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コミュニケーションリンク・マネジメントのススメ(1)

今月より、日経コンピュータ本誌での連載や、『SEのためのヒューマンスキル入門』(日経BP社)などの著書でお馴染みの芦屋広太氏による、IT人材のヒューマンスキル向上という、時代が求めるテーマを追求する連載がスタートしました。

 

IT教育コンサルタント 芦屋 広太(プロフィール

 あなたやあなたの部下は、客先との数多くの会話中に知らず知らずのうちに状況を不利にする発言をしていないだろうか。自分ではなかなか気づかないコミニュケーション・リスク。これを適切にコントロールする仕組みを作らなくてはならない。

●会話の中に生じるリスク

 SEやPM、ITセールスなどのうち、優秀と呼ばれる人材は、顧客と話しをしたり、交渉する場合に「コミニュケーションリスク」を意識し、問題が発生しないように対応している。今回から3回にわたってコミニュケーションリスクとは何か、どのようにコントロールするのかを説明する。

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 一般的なコミニュケーションリスクとは、企業が不祥事を起こした際の広報活動が不適切により生じるレピュテーションリスクを意味する。少し前になるが、乳製品企業の事件や最近では自動車メーカが社会的に問題になった。事故発生時の説明の不手際に起因するリスクである。しかし、ここで説明するコミニュケーションリスクは若干定義が異なり、たとえば会話中に相手を怒らせたり、ウィークポイントを悟られたりするような発言を行ってしまうことよって問題(交渉が不利になったり、評判が落ちるなどの望ましくない状況)が発生し、対処を迫られるようなリスクで、ヒューマンリスク(人間に起因するリスク)の一部である。

 では「コミニュケーションを行わなければリスクが発生しないか」と言われるとそれは「NO」である。そもそも、まったくコミニュケーションがない状況など考え難い。さらに言うと、十分なコミニュケーションが必要であるにもかかわらず、コミニュケーションが不足している状況でも問題は起こる。したがって、これもコミニュケーションリスクの対象となる。

●リスクの顕在化(インシデント)

 仕事を進めていく上でコミニュケーションが必要である以上、必ずコミニュケーションリスクは存在している。ただし、多くの個人やマネージャはあまり意識できていないことが多い。本来なら、適切に説明すれば問題にならなかったことが、考慮が至らなかった結果、大きな問題(インシデント)になり、事態収拾のためのコストが発生する。

 これを具体的事例として見てみよう。筆者が研究するモデル事例のうち比較的発生しやすいものとして、客先と開発側の「予定外機能追加依頼」のケースがある。

 システムを開発する場合、要件定義後に客先のトップマネージメントや高役職者(部長クラス)の指示で仕様変更が開発側に依頼されるケースがある。

(ある会議のPMと顧客側の会話)
顧客課長:
実は、弊社で新たな話が出てきましてね。提示した機能を一部変えてほしいのですが。
PM:
そうですか。少し時間をいただけますか、弊社内で話し合って見ます。
  (2週間経過後の会議)
顧客課長: 以前お願いした機能だけど、どうですか?
PM:
あれですか、ちょっと難しいですね。
顧客課長: えっ、できないの? もっと早く言ってくれよ。何が難しいの?
PM:
いろいろ問題がありまして。設計が完了していますし、入力の後チェックプログラムが走行するのですが、このプログラムが複雑で、変更するとリスクがあるのです。大規模な変更になりますので、検証も大変ですし、今回は現行通りでスタートしませんか?
顧客課長: それでは説明になっていない。部長がほしいと言っているんだ。どうやって説明すればいいんだ。お宅で部長に説明できる資料を作ってくれ。2週間も連絡なしで、できないとはどういうことだ。
PM:
分かりました。社内で対応検討します。

  文章にするとPMの対応が好ましくないことは誰もが気づくと思う。しかし、実際のコミニュケーション現場では、このような対応が数多く行われている。特に、経験が不足している若いPMの場合は、事例のように対応してしまう可能性が高いことを想定すべきである。

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