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特集4:〜成果の連鎖における人材パフォーマンスの向上を図る〜人材パフォーマンスを支援するチェックポイント

■パフォーマンス向上のためのアプローチ

 インストラクショナルデザインのアプローチでは、まず「研修の結果としての満足度」(カークパトリック レベル1)を目指し、その次に「知識やスキルの定着度」をテストなどの形態で確かめ(カークパトリック レベル2)、その上で、研修で習得した知識やスキルを実際の仕事に使っているかどうかを評価し(カークパトリック レベル3)、最後にビジネス上でのインパクトがどれくらいになったか(カークパトリック レベル4)の評価に結びつけるために、レベル1→レベル2→レベル3→レベル4に向けて研修構成を組んでいきますが、人材パフォーマンスサポートを課題とする場合、まずビジネスリザルト(カークパトリック レベル4)が何であるか、または、成果を出すための行動変容(カークパトリック レベル3)を第一の達成目標として研修などのソリューションを設計していきます(ASTDのHuman Performance Improvement "HPI"の方法論)。
 つまり、パフォーマンスサポートのための人材育成プランや研修を提供するためには、個々人のパフォーマンス上の問題の解決のみではなく、個々人のパフォーマンス上の問題に影響を及ぼしていると考えられるチームや、プロセス、組織にも阻害要因がないかどうかを検討した上で、解決策としての研修を提供し、ビジネスリザルト達成を目標とします。

 そのために必要な分析項目が前回(第37号)述べた CJI(Critical Job Issue)、CPI(Critical Process Issue)、CBI(Critical Business Issue)です。

分析項目
 
■Gearly Rummlerのパフォーマンスチェックリスト


 CJI(Critical Job Issue)、CPI(Critical Process Issue)、CBI(Critical Business Issue)のリンクがどのようになっているのか見極めることが重要であることは、前回のeラーニングマガジンでも述べましたが、では、何がその見極めポイントになるのでしょうか?
Gearly Rummlerが、ASTDの月例雑誌"T&D 2005年2月号"にCJI、CPI、CBI チェックするためのリストを掲載しています。以下はその抜粋です。

<現場の仕事レベル CJI>
仕事へのアウトプットや要求は、プロセス、組織、顧客の要求とどのようにリンクしているか。アウトプット、要求は明確か。明確に伝えられているか。
仕事のやり方(仕事の設計、Job Design)は適切な方法がとられているか。
仕事を遂行するための必要なインプットや仕事のはずみをつける誘引となる事柄は何か。
その職務についている人材には、仕事を遂行するために十分な能力が備わっているか。
仕事を遂行するに必要なツール(道具)やリソースは利用可能か。
その職務についている人材には、仕事を遂行するために必要な知識やスキルがあるか。
仕事の重要性は、適切なバランスを保っているか。
仕事に対する適切なフィードバックはあるか。

<プロセス CPI>
プロセス上のアウトプットや仕事への要求は、組織と顧客の要求とどのようにリンクしているか。プロセス上のアウトプット、要求は明確か。明確に伝えられているか。
プロセスは要求されているアウトプットを出すために適切に設計されているか。
必要なリソースは利用できるか。
プロセス上に必要なインプットや仕事のはずみをつける誘引となる事柄は何か。
プロセス上の各仕事は期待された結果を達成しているか。達成していない場合はCJIに戻ってチェックする。

<組織 COI>
機能としての組織はモニターされ、改善点があれば適切なアクションがとられているか。
組織の方向性は、ミッションやビジョン、戦略、ビジネスモデル、経営目標と整合性をもって機能的に示されているか。
組織のアウトプットは、顧客の要求や株主の要求とどのようにリンクしているか。アウトプット、要求は明確か。明確に伝えられているか。
組織として期待される成果の達成のために、各業務プロセスは最大限の能率性を発揮しているか。
すべての業務プロセスは期待される結果を達成しているか。達成していない場合はCPIに戻ってチェックする。


 HPIでは、以上のようなチェック項目の期待されることと現状を明確にし、そのGAPが生じる原因となっている部分は何なのか、すべてのリンクがうまく繋がっているのかを検証します。その上で何が一番適切なソリューションとなるのかを明確にした上で、研修などを設計していきます。

 換言すれば、目標と目標達成指標を明確にし、その達成度を測定することによって初めて「ソリューション」としての人材育成プログラムやパフォーマンスサポートとしての研修が提供できるということではないでしょうか。

中原 孝子氏 プロフィール
中原 孝子氏 中原 孝子(なかはら こうこ)
国立岩手大学卒業後、米コーネル大学大学院にて、教育の経済効果、国際コミュニケーション学等を学ぶ。
その後、慶應義塾大学環境情報学部武藤研究室訪問研究員として、インターネットを利用したデータマインニングやeラーニングなどの研究に携わった。
職歴:米系製造販売会社、金融機関、IT企業にてトレーニングマネージャーとして活躍し、平成14年5月、株式会社インストラクショナル デザインを設立。
会員:ASTD会員、慶應義塾大学環境情報学部研究員
 
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