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特集3:平田周のキャンパスライフからビジネスライフへ 第5回 わからないことに出くわした時
三田教育研究所首席研究員 平田 周(プロフィール
 第5回 わからないことに出くわした時
 学校では、試験に出た問題がわからなければ、不合格になります。しかし、ビジネスライフでは、すぐにはわからなくてもよいことがしばしばです。逆に学校では、習わなかったことを試験に出せばブーイングや抗議を受けることになりますが、ビジネスの世界では、毎日、毎日が知らないこと、わからないこととの出会いだといってもいいでしょう。わからないことに出くわした時にどうすればよいか。それが今回のテーマです。

 わからないから、といって逃げ出したり、落ち込んでいたりすれば、ビジネスライフでは務まりません。わからないことに遭遇したら、調べてみることです。その習慣がつけば、その人はどんどん伸びていくでしょう。

 誰にでもできることは、わからない言葉や事柄に出くわしたら、すぐに辞書で調べてみる習慣を身につけることです。そのちょっとした努力が、将来は大きく違ってきます。意味のわからない言葉に出会った時、どう読めばいいかわかない漢字に出くわした時、放っておかないことです。幸いなことに、いまは便利な電子辞書があり、インターネットでずいぶんいろいろなことがわかる便利な時代になっています。しかし、どんなに便利になっても、本人が調べてみることを面倒がっていては、何の役にも立ちません。そのちょっとした気持が他の人との差になってきます。でも案外、気力が要るものです。人と差をつけようといった気持だけでは長続きしないでしょう。やはり力になるのは「好奇心」です。

 わからないことがあると、すぐに調べてみるという人は、気力と同時に、好奇心に富んだ人だといえるでしょう。

 しかし、日本経済新聞を広げて、わからない言葉やニュースを片っ端から調べるというのは現実的ではありません。とてもそんな時間的余裕はないでしょう。それではどうすればよいのでしょう。

 ざあっと目を通していくなかで、気になる言葉や記事について、どういう意味なのだろうかと考えてみます。あまり興味がないか、調べるだけの気力がなければ、ちょっと考えるだけでよいのです。目から入った情報、視覚情報は、目から脳の視床というところを経て海馬と呼ばれる記憶すべきかどうかを取捨選択する部位に入ります。言語情報が、前頭葉から新大脳皮質にある脳神経に記録される経路とはまったく違います。言葉にして考えてみるだけで、記憶はずっと深くなるのです。

 わからなくても、そのまま放置しておきます。どういう意味だろうと考えたことは、脳神経細胞に記録されています。そしてその答えや追加情報は、ふとしたことで関連して入ってくるものなのです。

 わからないことは、ちょっと考えてみるけど、その時は深追いしないでもいつかそのことがわかってくるということなのです。

 「聞くはいっときの恥、聞かざるは一生の恥」という格言があります。わからないことは何でも尋ねよという教訓です。しかし、ビジネスの世界では、何でもかんでも聞けばいいかというとそうはいかないという事情があります。新入社員の間は、よく質問するので熱心な奴と好印象を与えるものですが、あまり質問ばかりするとうるさがれる恐れもなくはありません。同僚からも、目立ちたがり屋だと嫌われるかもしれません。これはキャンパスでもよくあることです。

 入社してしばらくたつと、ヘタに質問をすれば、こんなことも知らないのかと先輩や上司からバカにされることも考えなければなりません。適切な質問を、適当な時期にするというのが印象をよくする秘訣です。

 とはいえ、わからないことに出くわしたら、そこでストップしてよいというわけではありません。わからないことは、括弧に入れて、次のことに進んで考えるのです。高校で習った代数というのを覚えていますか。未知数をxとyとして計算をしていきますね。あの方法です。

 わからないことに出くわしたら、わからないとあきらめたり、逃げ出したりしないで、@一瞬でよいからどういう意味だろうと考えてみること、Aわからないことは括弧にいれて次に進む。この2つを実行することがお勧めです。ちょっと考えてみてわからなければ、先送りにしておくだけのことですから、簡単ですね。

 この方法は、入社前から身につけておくことができます。ビジネスの世界に入れば、この方法が必ず活きてきます。


■平田周 氏プロフィール
平田周氏 三田教育研究所首席研究員
どうしたら若い人たちの知力、思考力、英語力を高めることができるかを研究しています。大企業、外資系企業、中小企業などでの勤務、ベンチャーの立ち上げ、大学で教鞭など、さまざまな体験をしてきました。元東京工科大学大学院バイオ・情報メディア研究科客員教授。専攻:国際情報論。

 
 

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