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特集2:あなたが変える!”仕事”の意識を変革する連載 会社を動かすコンサルタント思考術(3)
経営コンサルタント 小泉 雅史(プロフィール
 第三回:「あなた」を最も活かすキャリアの積み方・見つけ方

 コンサルタントはよく「企業の変革者」と言われます。迅速に経営上の問題を洗い出し、深く分析し、トップにプレゼンする――。なぜ彼らがさまざまな問題に果敢に取り組み、短期間でクライアントを納得させる解決策を提示できるのか。それは、「視点」と「思考の流れ」にあります。本連載「会社を動かすコンサルタントの思考術」は、仕事上のさまざまな問題をコンサルタントはどのように捉え・考えていくのか、その思考術を解説して、読者が「会社を動かす変革者」になるためのスキルを効率的に身に付けられるようにしていきます。


■業務上の問題例
 ITサービス企業に勤めるMさんは、今年33歳になるシステムエンジニアである。大学を卒業して入社以来、毎日がむしゃらに働いてきた。その仕事振りが評価され、同期の中では比較的早く課長に昇格、後輩の育成も任せられながら、さらに上位の仕事へのチャレンジを求められるようになった。一方で、最近Mさんの周りでも、不況も手伝ってか転職する友人が増えたように感じる。久しぶりに会う飲み会の席で転職理由を熱く語る友人に、Mさんは自分のキャリアプランについてあまり考えて来なかったことに気づいた。仕事も一定の成果を挙げはじめ充実はしているが、これからさらなる飛躍を目指す年代に差し掛かり、自分自身のキャリアの展望について明確に語れない自分に苛立ちを覚えはじめていた。「自分は本当は何をしたいのだろう? 何をすべきなのだろう? 自分に合ったキャリアはどのようにしたら見つけられるのだろう……。」答えを見つけられないMさんは悩んでいた。

■問題を捉えるコンサルタントの視点
 そもそも、あなたは日々何のために仕事をしているのでしょう? 「生活のため」「自己実現のため」「やりたいことへのステップとして」等々、色々想いはあると思われます。しかしながら、本質的なレベルで「何のためか」と問われれば、あなたがこの世に生まれた存在理由について深く考える必要がありそうです。つまり、あなた本来の得意技を駆使して、会社に、社会に、世の中に如何に貢献できるのかについて理解することです。では、そのような命題にどのように取り組んでいけばよいのでしょうか。考え方は、連載第二回目の「仕事の達人になる」で説明した「仕事のメカニズム」の延長線上にあります。

 仕事のメカニズムでは、個人の仕事について、それを「インプット」「処理プロセス」「アウトプット」、そして「クライアントニーズ(期待)」に分けて説明しましたが、ここでは、そのメカニズムをさらに会社、業界、国とマクロに拡大することで、そのつながりを理解し、マクロの潮流から、ミクロつまり自分に期待される仕事の役割を明確にする道筋を説明していきたいと思います。その結果、あなたの「存在意義」についても深く理解することにつながるのです。

 自分自身の役割や期待されるニーズ、言い換えれば「やるべきこと」を知るには、まず自分が所属している組織、つまり「会社」や「業界」や「国」がどの方向に進もうとしているかを知ることが必要となります。例えば、自分の会社を"船"に例えると、その"航海図"を知り、理解することです。その上で、"船員"として自分に求められる役割、自分の得意な領域を理解し、期待に応えていくことが、自分が最も活かされ、評価されるキャリアと言えるのです。またこのことが、あなたの所属する組織、例えば会社、業界、あるいは国といったマクロの視点で見た、あなたの存在意義と言えます。


 航海図は、「戦略マップ」とも言いますが、必ず顧客ニーズ、自身の視点から見れば「ビジョン」、つまり航海図で言うところの目的地はどこか、そしてそこへ確実に到達するための航路つまり「戦略」があり、それを達成するために必要な「実現能力」、さらに実現のための「リソース」、つまり必要な人材、資産、資金等も記載されています。一方で、資源は常に有限であり、全てが手に入るわけではありません。そこで、戦略は資源の制約の中で実現可能なものでなくてはならず、ビジョン実現に向けての「やるべきこと」と「やれること」の現実的な落とし込みがされているものです。また、上記の「仕事のマクロからミクロのつながり」で述べたように、このビジョンと戦略は、マクロからミクロに一貫して連携・細分化されていきます。なぜなら、マクロの視点、例えば国や業界のビジョンを実現するためには、必ず企業そして企業の社員というように、より小さい単位の構成要素が各々分担されたビジョン・戦略の実現を遂行する必要があるからです。つまり、マクロの船からミクロの船までの戦略マップをさらに自分まで落として理解することが、すなわち、自分自身の求められるキャリアを深く理解することにつながるのです。

 
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