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特集1:あなたが変える!”仕事”の意識を変革する連載 会社を動かすコンサルタント思考術(6)
経営コンサルタント 小泉 雅史(プロフィール
第六回:感動を創出する付加価値の高い仕事・製品を生み出す具体的思考法とは

 コンサルタントはよく「企業の変革者」と言われます。迅速に経営上の問題を洗い出し、深く分析し、トップにプレゼンする――。なぜ彼らがさまざまな問題に果敢に取り組み、短期間でクライアントを納得させる解決策を提示できるのか。それは、「視点」と「思考の流れ」にあります。本連載「会社を動かすコンサルタントの思考術」は、仕事上のさまざまな問題をコンサルタントはどのように捉え・考えていくのか、その思考術を解説して、読者が「会社を動かす変革者」になるためのスキルを効率的に身に付けられるようにしていきます。


■業務上の問題例
 営業部門からマーケティング部門に異動してきた新任Y課長が担当として任された戦略ブランド「Z」。徹底的に顧客の声を拾い、ニーズを整理し、企画したはずの次期製品のコンセプト案も評価は今ひとつでした。評価者を感動させる製品開発を自力で完遂すると決意したものの、具体的にどのように考えていけばよいのか、思考方法の明確な拠り所もなく、Y課長は途方にくれています。「潜在ニーズを探り、当事者の認識レベルを超えたニーズを掘り起こし、創造的に製品開発を行えば感動創出レベルが高まる」とは前回の連載で理解したものの、具体的にどのようなポイントをどのような方向性で考えていけばよいのか、まだピンときていません。再度行う予定の次期製品プレゼン締め切りまで残りわずか2週間。正直時間がありません。効率的に思考するためのポイントについて、Y課長はどのように考えていくべきでしょうか。

■問題を捉えるコンサルタントの視点
 上司や顧客のインサイト(潜在ニーズ)を掴み、アウト(具現化)することが、仕事や製品開発で感動を生み出す思考のコツであることは、前回の連載で説明しました。今回は、この思考方法をより具体的に体系的に分解して説明していくことで、日々の業務の中で実践できる思考単位にしていきたいと思います。つまり、何をどのような方向性で考えていけば感動創出レベルの高い、高付加価値な仕事や製品を生み出せるのかについて解説していきます。

 前回、「インサイト・アウト思考」という手法は「潜在ニーズの読み取り」と「創造力の発揮による仕事や製品の具現化」に分けて考えられることを説明しました。では実際にどのようなニーズを読み取り、どのように具現化していけばよいのでしょうか。それには2つの項目をさらに下位レベルに分けて思考していく必要があります。結果、思考方法の具体性が高まりますので、従来センスに頼りがちであった「インサイト・アウト思考」の精度を高め、より効果的に思考していく枠組み(フレームワーク)として活用できるようになります。

 ところで、「感動を創出する高付加価値な仕事や製品」と聞いてあなたはどのようなイメージを思い浮かべますか? あなた自身にとって考えるなら「高付加価値な仕事」、会社にとっては「高付加価値な製品」ですが、どのようなモノを意味するのでしょうか? 上司や顧客の期待を超えた感動レベルの付加価値の高い仕事や製品を効率的に作り出すためには、確かに思考する際の重要ポイントが存在します。仕事も製品も提供先が上司か顧客かによって違うだけで、思考方法は全く同じです。いかがですか、何か頭の中に浮かびましたか? 思考の重要ポイントは、まず「感動創出」は「インサイト・アウト思考」により作り出された「高付加価値な仕事や製品」の成果であると考えることです。それでは、以下にその思考ポイントを理解しやすいように体系的に相関式に分解して説明していきます。



 より多くの感動を創出する、より付加価値の高い仕事や製品を生み出すためには、まず「上司・顧客の本質的潜在ニーズ読み取りレベル」を高める必要があります。本質的潜在ニーズとは、顕在化している、つまり上司や顧客が現在認識しているニーズの背景を深く掘下げていくことで、明らかになる人間のより本質的な欲求を意味します。また、どこまで深く掘下げるかはどこまで創造的な思考ができるかと関係があります。つまり、本質に近づけば近づくほどニーズが抽象化しますので、逆にそのニーズを具現化する際にさまざまなアイディアや解決策を創造できるようになります。例えば、レストランの新メニューを考える際、「健康サラダ」よりも「健康食」、さらに「健康志向」までニーズを深く掘下げて捉えると、創造する際の思考範囲が広がることが分かりますよね。健康志向まで掘下げることで、単なるメニュー開発だけにとどまらず、新メニューに関連するPOPや店舗内装・外装、ウェイトレスの服装やサービス、BGMなどまでも思考範囲に入ってきますね。つまり、人間の本質的なニーズに近づけば近づくほど、抽象度が増し、個別の課題から、より全体的な多くの人々の共通課題へと「対象範囲」が広がっていくのです。また、対象者にとって日常の依存度あるいは必要性が高い物事ほど「重要度」も高いと言えます。つまり、変革した際のインパクトが高いのです。「重要度」はさらに「大きさ」と「頻度」に分けて詳細に考えることができます。ここまでを再度まとめると、仕事や製品の付加価値を高める思考においては、「対象範囲が広がる」ように潜在ニーズを本質的に掘下げ、かつ「重要度が高い」ニーズを見極めていくことがとても大事なポイントなのです。そして捉えたニーズを創造的に具現化していくことで高付加価値な仕事や製品を生み出せるようになるのです。
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