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特集2:心理カウンセラー岡本英二氏に聞く 企業が従業員の心のケアをトータルに支援する『EAP』プログラムとは 最終回
ビジネスカウンセリング協会(BCA)会長、そったく塾代表
岡本 英二(プロフィール
 企業が従業員の心のケアをトータルに支援すれば、総合的な生産性が上がり、売り上げや、利益率の向上が現実化します。前回は、EAP導入の詳細についてお伺いいたしました。今回は、最終回として、現代社会におけるストレス増加に対して従業員や経営者がどのように考えていけばよいのか、また、最近の動向についてお伺いしました。
 
編集部 欧米のようにカウンセリングに行くのに偏見がなくなるようにするにはどうしたらよいでしょうか。

岡本英二氏 以前もお話ししたかと思いますが、たとえ話として「手の骨が折れたらどうしますか」といいますね。当然病院にいくでしょう。では「心が折れたらどうしますか」。心療内科や精神科のある病院などに行きますか。

編集部 相当つらくならないと行こうと思わないでしょうね。我慢してしまいそうです。

岡本英二氏 例えば、アメリカ人に言わせると、あなたが心が折れて病院に行かないことは、手の骨が折れて病院に行かないのと同じことなのです。「それほどお前は強い人間なのか!」ということなのです。日本では心が折れた時1人で治そうとするでしょうが、アメリカ人にとって、それはとても信じられないことです。心が折れたときは専門家と共に治療した方が早くよくなるという発想をします。だから海外の芸能人が悪いことをした時に、記者会見で「私はカウンセリングを受けている」とアピールすることがあるでしょう。カウンセリングを受けサポートしてもらうことで、自己管理をしていることをアピールします。それは、弱みを強みに変えるという発想なのです。そして、専門家とともに治療を行いつながったらどうなりますか。そこは太くなるのです。以前に比べてより硬く強くなるのです。心も同じです。それを1人で治そうとすると、変に折れ曲がったまま繋がってしまうかもしれません。変な直り方をしてしまうよと。そういう感覚の違いが強いと考えます。いずれにしてもサインに気づき、企業全体で予防をしていくというスタンスが重要です。

編集部 アメリカでは、自己管理は誰かに見てもらわないと難しいと考える。日本人は、自己管理は自分でしましょうと考える。一見、日本人の方が独立心が強いように聞こえますが実はそうではない場合もあるのですね。

岡本英二氏 それ独立心というのは、自分の弱いところを出さないということだと思います。「恥の文化」とも通じますね。昔は「恥に耐える」という人が多かったと思いますが、今は、「恥じて折れる」という人が多くなったような気がします。

編集部 カウンセリングに偏見がある人に、受診してもらうにはどうすればよいでしょうか。

岡本英二氏 まず「予防」ということを全面に出すこと。そして、簡単にチェックするだけでもいいから受けてみたらとしか言えないことが多いですね。「あなたのために」といっても本人が気がついてない(病識がない)ことが多いですから。一番いいのは、カウンセリング経験者が、とてもよかったから一度行ってみればと勧めることですね。ここで気をつけなければならないのは、強要することは無理なんですよ。受けたくないという人を受けさせるのは無理なのです。

編集部 何かコツはありますか。

岡本英二氏 秘密を守り、それが絶対に外部に漏れないよということをよくよく日本人には言わないとだめなようです。もちろん守秘義務があるので当然の行為なのですが、会社を敵に回して、カウンセラー自身がクビになっても話しませんよと言わないと信用してもらえない。人事考課や評定にひっかかるのではないかと心配している方もいらっしゃいます。

編集部 ところで、うつ病、ストレスによる体調不良になる方が増加しているようです。IT業界は特に顕著です。一体どういう人がなりやすいのでしょうか。

岡本英二氏 一般に言われているのが、「責任感が強くて、生真面目な人」「神経質」「内向性の人」「会話が下手な人」「趣味、遊びの少ない人、下手な人」「長男、長女」です。うつ病以前に、ストレスが溜まり、体調不良が先になる人が多いですね。内科で異常がなく、心療内科、神経科を紹介され、そのあと私のところに来る人が増えています。そういった場合、睡眠障害、下痢をしたりしてお腹を壊す、便秘になる、めまいがする。冷や汗が出る、耳鳴りなどの症状を起こしたりしています。IT業界は、仕事がつらいからでしょうね。

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