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特集2:心理カウンセラー岡本英二氏に聞く 企業が従業員の心のケアをトータルに支援する『EAP』プログラムとは 最終回
編集部 最近岡本様が診られている中で、症状の傾向というものはありますか。

岡本英二氏 まず、「うつ病(エネルギー低下)」、そして「神経症(エネルギーが高い →パニック症候群、潔癖症)」などです。また、ここ5年ぐらいカウンセリングをしていて、10代後半〜20代後半のクライアントの話を聞くと、小さいときに虐待を受けている方が多い。

編集部 虐待の話はよく聞きます。母親からですか、父親からですか。

岡本英二氏 両方おなじぐらいですね。どっちもどっちです。両親が2人でやっている場合もあります。肉体的な暴力だけでなく、言葉の虐待もあります。「お前なんか」とか……。親のストレスのはけ口になってしまっています。

編集部 このようなケースの場合、アメリカではどのようにするのですか。

岡本英二氏 EAP協会で、虐待について講演していたことがありました。アメリカでは、制度がすごくできています。まずは、何かあったらすぐに逮捕されます。日本ではそのような制度が確立していないので、すぐに逮捕できない状況にあります。わかっているんだけど手が出せない。事件が起こってからか、事前に証拠が無いと警察は動けません。そこで、日本のカウンセリングは面白いなぁと思いました。例えば、河でおぼれていて「助けて!」というのだけれども、アメリカの場合「大丈夫か?」といってすぐ助け挙げます。日本の場合、「(カウンセラー)お〜い、どこでおぼれたの? 落ちたの?」「(クライアント)上流で!」「(カウンセラー)どんな風に落ちたの?」――こんなやりとりをして溺れるまで見ているような感じというふうに捉えられています。わかっているのだけれども手は出せない。この間通報の義務というのがやっとできましたけれどもね。まだまだですよ、日本は。だから、せめて企業で予防しましょうというのが私の考えです。

編集部 どういった生活をおくればストレスを軽減できるでしょうか。

岡本英二氏 「人生に意味・目的を持った生き方をして欲しい」ですね。なんのために働いているのか、しっかりしてほしいなと。「何のためにそれをしているの」と聞かれたときにちゃんと答えられるのか。子供に「何をしているの」といわれたときにきちんと答えられるのか、何でもいいのです。要はちゃんと答えられるのかどうかです。誰かのために役に立つ仕事をやっているかどうかということです。それが給与として跳ね返ってくるわけですから。人が困っていることを代わりにやってあげるからお金になるわけじゃないかとも考えられます。そのあたりをもう一回きちんと見直ししなければいけない時期に来ているのではないかと思いますね。カウンセリングをしていて、じゃあどう生きたいの!、何がしたいの!、夢は!、と聞くと返答があまりありません。生き方を喪失しているパターンが非常に増えている。だから無気力になる。何をしても嫌になる。

編集部 主体性がないということですか。

岡本英二氏 そうですね。自分で決められないというのも当然あるし、何のために仕事をしているといえば、「別に」「適当」と答えるという傾向性が出ています。今の学生ぐらいにもみられますけど、特に一段落した30歳前後ぐらいが多いです。仕事が一通りできるようになって、とりあえず一生懸命やってきたのだけど。さあ、結婚しようかな、結婚して子供ができて一段落した時とか、そこで仕事につまずいた時とか、職を変わろうかなとか、おれはどういう生き方をしようと思っていたんだろうかとか、そこに思い当たりがないとか、どう生きたいかとか、何をしたいとかがないとか、非常に打たれ弱くなっている。迷う、迷う、ずっと迷い続けています。そこはしっかり見直さないと、駄目な時期がきているのではないかと思います。

編集部 こういう方がどんどん増えてきたときに、経営者はどのように対処したらよいのでしょうか。

岡本英二氏 そうですね。私でしたら、まず経営者がどういう思い・理念で仕事をするのか皆に明確にしてもらう。それに、共に働く共同体、仲間、家族意識をしっかり持って欲しいと思います。それでみんなが元気で健康で働くことで、絶対売り上げや生産性が上がっていくのだと、会社が成長していくのだという信念が全員で持てるかどうかということです。つまり「人を信用するかどうか」ということなんです。経営者はそういう覚悟をもってほしいなと。人を信用する覚悟がない経営者のところに企業と人の成長はあり得ません。EAPプログラムはそういった経営者と人を強力に支援します。私もその支援の一環を担えればと思います。

編集部 ありがとうございました。



■岡本 英二氏プロフィール
岡本 英二氏 昭和37生まれ。ビジネスカウンセリング協会(BCA)会長、そったく塾代表。歯科医院、不動産会社、保険会社、流通、開発、通信、コンサルタントなどさまざまな仕事を経てプロカウンセラーになる。幅広く豊富な経験を生かし、「カウンセリング」と「体験ワーク」を上手く取り入れた企業研修が好評。日本企業に合った従業員支援を提唱し、総合的な生産性の向上をサポートする。経営者や社員の心の病を治すだけでなく、予防医学の見地に立ったリスクマネジメント的な効果を狙った研修も注目を浴びている。とくにIT業界やセールス、接客、サービスや現場でのコミュニケーションを必要とする業種での人気が高い。同時にビジネスカウンセリング協会を通し、さまざまな癒しを企業に提供している。また、主婦などを中心とした女性向、個人向けセミナーも積極的に行っている。【研修実績】松山大学/高知大学/ダイキ株式会社/JPSA(日本パーソナルコンピューターソフトウェア協会)/株式会社クイック/ニスコム株式会社/東京応化工業株式会社/マイウェイ技研株式会社/日興コーディアル証券株式会社/久光製薬株式会社/テプコワーク&キャリアスクール/その他

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