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特集1:平田周の”キャンパスライフからビジネスライフへ”【第1回】
三田教育研究所首席研究員 平田 周(プロフィール
 第1回 「キャンパスライフ」と「ビジネスライフ」の違い
 採用内定も決まり、ほっとしている人たちも多いことと思います。これから来年4月の入社までの時間は、最後の学生生活を充実したものにしよう、会社に入ったら時間がなくなるから、いまのうちに思い切り自由を満喫しておこう、と思っている人が少なくないことでしょう。

 それはとても大事なことです。長い人生の中で、もう二度とそのようなチャンスはないのですから。

 しかし、同時にこの時期を、就職後の準備にあてることも大事です。自由を楽しめ、と言っておいて、すぐさま会社に入ってからのことを考えろと言うのかよう、と反発する人もおられるでしょうね。でも、矛盾することを言っているわけではありません。

 昔は、企業も比較的のんびりしていましたから、会社に入ってから仕事のことを考え、技を磨けばいいというのが会社側の考えでした。入社前にはあまり仕事に必要な知識はむしろ持っていないほうがいい、会社には白紙で入ってきて欲しいということさえありました。だから、学校では勉強する時間がとりにくかった体育会系の人が歓迎されるという風潮さえあったのです。

 ヒマラヤの高山に登るには、高度が 2,000 〜 3,000 メートル辺りの所に滞在して、しばらく酸素の薄い空気に体を慣らす必要があります。そうしないと高山病にかかるからです。

 会社をヒマラヤの山だとすれば、これからの数カ月を高度順応に使うのに絶好の機会なのです。実際に高度順応というのは、登山の訓練をしたり、何かとくべつのことをしたりするというわけではありません。それと同様に、会社に入る前の“高度順応”は、わざわざ勉強をするとか、知識を身につけるといったことは必要ありません。ただ、そういう“空気”に慣れるよう準備することです。

 そのことを、「キャンパスライフ」から「ビジネスライフ」への移行期間と名づけました。この期間中にどのようなことをしておいたらよいのか、これから何回かにわたり、お教えしようと思います。

 この期間に何をしておけばよいかというと、一口に言えば、「キャンパス脳」から「ビジネス脳」にだんだんと変えていくということです。キャンパス脳の特徴は、先生から授業を受け、その成果を試験されて、成績がつけられるということにあります。それに対してビジネス脳は、自分で自分に教えなければならず、 100 点満点という成績のつけ方がないということです。

 別の言い方をすれば、キャンパスライフでは、最高点をとる、あるいは卒業に必要な単位をとるといったゴールがあり、“閉じた”状況なのですが、会社などでの仕事には最高点というものはなく、ゴールはないのです。いうなれば“開いた”世界なのです。

 この“閉じた世界”と“開いた世界”というのは、とても興味のある区分方法だと思っています。話せば長くなりますので、これについては次回にゆずることにしましょう。

 ご静聴、いやいや、ご静読感謝します。次回をお楽しみに。


■平田周 氏プロフィール
平田周氏 三田教育研究所首席研究員
どうしたら若い人たちの知力、思考力、英語力を高めることができるかを研究しています。大企業、外資系企業、中小企業などでの勤務、ベンチャーの立ち上げ、大学で教鞭など、さまざまな体験をしてきました。元東京工科大学大学院バイオ・情報メディア研究科客員教授。専攻:国際情報論。

 
 

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