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特集3:心理学博士 奥村幸治の“「知る」「分かる」「変わる」科学“ 第10回 成長し続ける意義 〜 脳の成功回路の形成 〜
パーソネル・ディシジョンズ・インターナショナル・ジャパン株式会社(PDI)コンサルタント
奥村幸治(プロフィール
   成長し続ける意義 〜 脳の成功回路の形成 〜
 昨年の秋、3週間サウジ・アラビアに仕事で行く機会がありました。初めての中東訪問ということで、不安と期待を抱いて行ったわけですが、治安の良さには驚きました。サウジは石油で潤っている国ですので、石油で得られる豊富な物資に囲まれて生活できる恵まれた国であるという印象を強く感じました。その豊かさには限界が無いという錯覚まで起こします。

 しかし、現地の人に聞いてみると、サウジの家族は子どもが多く、石油以外のビジネスを創出しなければ近い将来子どもたちが働く場所がないという切実な問題があるようです。また、国内のいたるところで、ペットボトルやビニールの買い物袋などが捨てられており、将来環境問題が発生するのは避けられないと思われます。

 もし、サウジの石油が枯渇すればこの国の生活はどうなるのでしょうか。人々はベドウィンの生活に戻るのでしょうか。それとも、別の生き方を模索するのでしょうか。サウジの例で考えていますが、日本を含めさまざまな国でも課題を抱えながら、人々は生きています。現状を打破するにはどうすればよいのか。ここに成長を継続させる意義があります。

 海洋温度差発電の世界的権威である上原春男さんは、独自の成長原理を考えられました(『成長するものだけが生き残る』サンマーク出版参照)。この原理は地域企業産業振興や企業の製品開発にも活かされています。企業に関して、上原さんは「成長こそが、企業の目的であり存在理由でもある。だから企業はつねに成長体でなくてはならない。停滞や現状維持は『悪』であり、成長なくしては生き残れない」と著しています。企業をはじめどのような組織も、また、そこで働く人々にとっても成長は生き残る(サバイバル)ために重要な条件であることが分かります。それは、表面的に見られる成長の側面だけではなく、内面的にも重要な意味を持っていると言えます。なぜならば、「どんな人も組織も、成長意識を失った時点から、やる気や活力が薄れ、能力の後退、創造性の低下へとまっすぐにつながっていってしまうからです」。能力の後退イコール成長の停止ということです。

 それでは、成長するためには何が必要なのでしょう。まずは、「成長する」「成長したい」という意欲と信念が必要です。近年の脳科学の研究によって、「人間の脳は、その人が成長しよう、成功しようと考えると、そのために必要な情報を多く取り入れ、それを成し遂げるための脳の神経回路が刺激されて、そこに『成功回路』のようなものが発達」することが分かり始めています。(『心とコンピュータ』ジャストシステム参照)この成功回路を形成しているときの人はプラス思考で積極的に行動しているに違いありません。

 次に、具体的にどのような行動習慣を身に付ければ、成功や自己の成長につなげることができるかということで、シュラーは4つの提案をしています。(1)否定的な感情をなくし、自信と決意に満ちた人生を送る。(2)新しい考えやクリエイティブな提案を積極的に評価する。(3)好機を見つけて勇敢に挑む。(4)難しい問題を歓迎して、否定的な要素を建設的に利用して、創造的に解決する。

 成長しなければ生き残れないという危機感が薄ければ、組織や人は変化し難い個体なのでしょうか。現状維持、これは「悪」なのか「善」なのか。自らに静かに問いかける価値があると思います。

参考文献
『成長するものだけが生き残る』上原春男、サンマーク出版
『心とコンピュータ』利根川進、松本元、他による共著、ジャストシステム


■奥村幸治 氏プロフィール
奥村幸治氏 パーソネル・ディシジョンズ・インターナショナル・ジャパン株式会社(PDI)コンサルタント 人材開発に関わるコンサルタント、アセスメント、トレーニング、コーチングに携わる。ブリガムヤング大学カウンセリング心理学博士課程終了。心理学博士。NPO国際ボンディング協会理事。さめじまボンディングクリニックカウンセラー

 
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