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特集4:顧客志向の次世代マーケティング ”顧客見える化”の視点から ][ 顧客ロイヤルティとサービス価値の ”見える化”
デジタルハリウッド大学/デジタルコミュニケーション学部 教授 匠英一(プロフィール
 「顧客満足度が高くなればなるほどクレームは増える」という逆説的な法則があります。特に、見えない価値を提供するサービスというものには良い悪いの基準がありません。そのため、せっかくの企業側の努力も部分的な対応のミスなどで水の泡になることも多いのですね。
 今回はもう一度"顧客ロイヤルティ"の内容をしっかり見える化して、そこからサービスで何が重要かを考えてみましょう。

■顧客ロイヤルティとサービス価値の"見える化マップ"

 まず、顧客ロイヤルティやサービス、満足度といった内容を整理するために4象限の図を作成しました。その見える化マップ図にある4つの領域をそれぞれ番号で示していますので、それに対する解説を以下にしました。
[1]→ サービス満足と推奨率が高いために、商品(モノ)が変わっても、そのサービスの質を評価してくれます。これは、旅行などのホテルがその典型です。一度行けばそこに再度行くことは、観光地の魅力が他にない限りないからです。だが、友人などにはお勧めをしてくれることになります。
[2]→ サービス満足度と再購入行動が高いので、ディズニーランドタイプです。すでに国民的行楽地なので、お勧めらしきことはしないが、毎年一回は旅行で行くといったものです。
[3]→ モノ満足度(商品満足)と再購入行動が高いので、サイクル性の高い消耗品(トイレットペーパー、しょう油)が多いものです。これらもコモディティ的であったインフラレベルのサービスであったりするためにお勧めはしません。
[4]→ モノ満足度と推奨度が高いので、高級品でイベント性が高いものです。例えば、結婚指輪などです。
 このような分類によって、顧客ロイヤルティと満足度の関係が「見える化」ができます。

■顧客のリピータ行動が高くともお薦め(推奨率)の商品ではないのはなぜ?

 では、それを具体的に分析してみましょう。
 図の横軸のように、顧客ロイヤルティを推薦度(お薦めの割合)と再購入行動(リピートの割合)に分けることで購買の心理と行動のGAPを表すことができます。リピータであってもお薦めしたい商品は少ないはずですね。顧客ロイヤルティとは、この二つの指標を組み合わせたものなのです。
 また、縦軸にあるように、顧客満足度をサービス満足度とモノ(商品)満足度に分けることで、商品の品質と人によるサービスの"体験"のGAPを明確にできます。商品が良くても、その販売のプロセスで販売員がトラブルを起こせば、商品の満足度も大きく左右されますね。
 業界業種によって顧客満足度への資産効果が異なる問題が以前にも解説しました。これは顧客満足度の内容を一律にし、行動レベルと心理レベルを区別せずに単一なものとして理解していることからくる落とし穴なのだということをもう一度思い出してください。
 例えば、満足度の中身は同じホテル業界だとしても、それが観光ホテルかビジネスホテルかでは違うことがわかります。
 観光ホテルような高級なものは[1]であり、ビジネスホテルならリピートすることも多くなり[2]となります。とくに[1]と[2]の分かれ目となるのは、そのサービス内容が客にとって思い入れがあるかどうか、つまり自己関与性のあるようなユニークな価値の有無です。
 他社にない特別な価値を経験させるサービスがあってこそ、推奨率も高くなります。ところがビジネスホテルはそういった内容よりも価格面や標準サービスいかに効率よく提供してくれるのかの簡便さが期待されます。しかも、それらが満足度として高くなっても、他社への推奨とはならずに自社だけのメリットとして利用する傾向があるのです。

■商品が高級かコモディティかで異なる購買行動の見える化

 また商品(モノ)満足度の軸でみた場合であれば、スキンケアのような基礎化粧品はリピート率も高くなるので[3]の領域だが、高級メイク(口紅)の場合は、ユニークさが求められ[4]となります。とくに基礎化粧品では、個人的な肌の違いが前提となりますために他者へのお勧めはしにくいという点もあります。
 ところが、流行性というファッションの見た目が求められる高級口紅のような商品は、一度試しに自分を表現する手段として購入することが多いのです。また、飽きやすい点も考慮するとユニークで目立つものがアピールされるべき商品となります。
 以上のように、見える化マップを使うとそれぞれの要因の関係がよくわかることから、こうした図をポートフォリオ分析という言い方でマーケティングでは有効に使うことが求められるのです。


■匠 英一(Eiichi Takumi)プロフィール
匠 英一氏 デジタルハリウッド大学/デジタルコミュニケーション学部:教授
和歌山市生まれ。東京大学大学院教育学研究科を経て東京大学医学部研究生修了。
90年より(株)認知科学研究所を創立。95年より中堅IT企業に入社し、インターネット活用の企画営業や顧客管理(CRM)のコンサルに従事。これまで11の異業種団体や資格団体を創設。公的な役職として、中央職業能力開発協会OA検定中央委員、CRM協議会理事・事務局長、早稲田大学客員研究員など歴任。
 現在は上記大学の教授職を兼務しながら、(株)人財ラボ(上席研究員)と(株)ミリオネット(非常勤取締役)などで顧客サービス発想法、eラーニング、CRMシステムのコンサル業務に従事。
 著書には、「顧客見える化」、「心理マーケティング」、「CRM入門」訳、「カスタマーマーケティングメソッド」訳、「意識のしくみを科学する」、「イラストでわかる心理学入門」等多数あり。
E-mail:takuei@netlaputa.ne.jp

 
 

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