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特集3:eラーニング導入のアプローチ インストラクショナル デザインが必要なとき


  ブレンディングやeラーニングの活用をするにあたってのインストラクショナル デザインを考える前に、今考えられるeラーニングというラーニングを定義してみましょう。 一般には、eラーニングはネットワークテクノロジーを使った配信やサポートをするフォーマルなまたはインフォーマルな学習体験と捉えられています。つまり、

● モジュールなどが確立している教材、学習コンテンツ
● 電子図書館
● 同期・非同期(e-メール、電子会議室、ウェブコンファレンスなど)でのダイアログの展開
● コラボレーション、ナレッジシェアリングアプリケーション
● 業務支援(パフォーマンスサポート)ツール(レファレンス資料、ヘルプ、書類書式テンプレート、各種文書など)
● アセスメントツール(シミュレーション、チェックテスト、パフォーマンスチェックリストなど)

など、eラーニングは、WEB上やPC上で展開される学習コンテンツにとどまらず、よりいっそうパフォーマンスサポートを提供するITの1つとして利用される傾向が高まっています。

 では、「研修の提供」の立場からこれらを活用し、特にブレンディングでのアプローチを行いたい場合、人材開発担当者は何を基準にeラーニングの導入と再デザインを行えばよいのでしょうか。 まず、一般的に考えられるeラーニングの導入基準となるのは、研修のニーズが以下のようなときになるのではないでしょうか。

● 標準化による啓蒙が必要なとき(例えば、個人情報保護法の徹底や情報セキュリティの全社教育など、規制や規則などの理解と徹底を促す研修など)
● どこにいても、いつでもアクセス可能にしなければならないとき
● 全社員へ研修機会を提供しなければならないとき

 では、集合研修やOJTなどのアプローチが必ず必要なプログラムはなんでしょうか。 実践的な訓練が必要である、指導する人からのパフォーマンスに対する助言がすぐに必要な内容の場合には、インストラクターなど、人を介したアプローチが必要です。 そして、これらの両方のメリットを組み合わせることができるブレンディングアプローチは、ほとんどすべてのプログラムに適用することができます。

 

ブレンディングアプローチの前に必要なラーニング状況の確認


 しかし、上記の条件があてはまっても、組織としてeラーニングを実施するのに十分な体制が整っているかどうか、つまり、現場のeラーニングの受け入れ状況を把握するためには、それぞれの企業において確認する必要があります。そのためには、下記のチェックリストをもとに、自社のラーニング状況を把握しておくことが必要でしょう。これがブレンディングアプローチをデザインする場合のスターティングポイントになります。

ブレンディング導入 チェックリスト

項目
現状
A.eラーニング(オンライン)の配信がより効果的な組織
eラーニングは経営目標との整合性がしっかりとれており、明確なビジネスサポートとして位置づけられている はい/いいえ
従業員はネットワークテクノロジーを使った情報の利用やeラーニングに慣れている はい/いいえ
eラーニングへのアクセスが増えている はい/いいえ
eラーニングやオンラインを使った「ラーニング」に対して、経営トップやキーとなるステークホルダーは、そのサポートや振興を言明し、成功へ導くための目に見える形でサポートやリソースの提供をしてくれている はい/いいえ
B.eラーニング(オンライン)の配信があまり効果的ではない組織
どこの企業も導入しているからeラーニングを導入している はい/いいえ
自社の社風や企業文化、業務プロセスにオンラインは適していない はい/いいえ
eラーニングの導入や継続的サポートのためのリソースが足りない はい/いいえ
C.eラーニング(オンライン)の配信がより効果的な従業員環境
従業員は配信されている情報やコンテンツにアクセスできるテクノロジー環境にあり、アクセスできるスキルを持っている はい/いいえ
従業員は学習コンテンツを使うための十分な時間がある はい/いいえ
従業員は配信されている学習コンテンツを自分たちの時間を使うのに十分な価値があり、また必要なものであると感じている はい/いいえ
テクニカルな問題やコンテンツ上の問題があった場合のサポートを受けることができる はい/いいえ
D.eラーニング(オンライン)の配信があまり効果的ではない従業員環境
多くの従業員は、オンライン・テクノロジーを使うことに慣れていない はい/いいえ
多くの従業員が、アクセスできる環境ではない。またはアクセス時間がない はい/いいえ
多くの従業員は、より対人的な交流やサポートの方が必要である はい/いいえ
多く従業員は、テクノロジーを使っての学習に興味がなく、自社の従業員には、eラーニングよりも効果的と思われる研修や学習提供のオプションの提供が可能である はい/いいえ

 さて、いかがでしょうか。あなたの組織でのインストラクショナル デザインはどこから始めればよいでしょうか。
  A.とC.に「はい」が多い場合は、現状導入されているテクノロジーをよりいっそう有効に使うためのインストラクショナル デザインを考えるところから、re-designが始まりますし、B.とD.に「はい」が多くついた場合は、まずスポンサーになる経営トップのコミットメントや、自社にとって、テクノロジーを使った学習文化が必要なのかどうかも再検討する必要があります。また、場合によっては、業務のプロセス自体を見直す必要も出てくるかもしれません。

  eラーニングに限らず、ラーニングやテクノロジーの導入の最終目標は、ビジネスパフォーマンスの向上です。そのためには、人材開発のプログラムや研修を担当する部署は、ナレッジマネジメントやEPSS(Electronic Performance Support System)、スキルやコンピテンシのアセスメントツールなど、様々なテクノロジの情報を押さえ、いかにスピーディに業務支援やパフォーマンスサポートが可能かを考慮していかなければならない環境になってきています。スピーディな判断やアセスメントを実行するためにも、人材開発のプログラムや研修を担当する部署のメンバーには、人材開発戦略の策定のためのパフォーマンスサポートを考慮したインストラクショナル デザインの基盤を身につけておくことが必要になります。


中原 孝子氏 プロフィール
中原 孝子氏 中原 孝子(なかはら こうこ)
国立岩手大学卒業後、米コーネル大学大学院にて、教育の経済効果、国際コミュニケーション学等を学ぶ。
その後、慶應義塾大学環境情報学部武藤研究室訪問研究員として、インターネットを利用したデータマインニングやeラーニングなどの研究に携わった。
職歴:米系製造販売会社、金融機関、IT企業にてトレーニングマネージャーとして活躍し、平成14年5月、株式会社インストラクショナルデザインを設立。
会員:ASTD会員、慶應義塾大学環境情報学部研究員
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