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特集4 現場の事例で学ぶマネジメント連載 ヒューマン・マネジメントのテクニック(3)

IT教育コンサルタント 芦屋 広太(プロフィール

 あなたはヒューマン・マネジメント能力に自信をもっているだろうか? マネジメントで最も難しい"人間の問題"、これにうまく対処しなくては仕事の成功はない。"人を動かすためには何が必要か"を理解し、適切に行動しなければならない。

 前回はヒューマン・マネジメントの方法論について説明した。人間をマネジメントするために重要なのは強制力ばかりではない。相手の感情を理解して動かしていくエモーショナルマネジメントが重要になることがお分かりいただけたと思う。そこで、今回からは、より具体的なヒューマン・マネジメントのテクニックについて説明したい。

 

■ ヒューマン・マネジメントの基本型

 ヒューマン・マネジメントで重要なのは二面による理解である。一つはメンバーの動機レベルであり、もう一つはメンバーがマネージャの指揮命令系統にあるかないかである。動機レベルとは、メンバーが自分のミッションを理解しているかと仕事に対する意欲や達成感をより具体的に持っているかで評価することができる。自分が何を達成すれば満足して行動するかという"行動メリット"を筆者は"行動のインセンティブ"と呼ぶ。すなわち、メンバーを行動させるには、彼らが一番喜ぶ報酬を与えなければならない。この行動のインセンティブを理解し、適切に与えていくことがヒューマン・マネジメントの基本になる。しかし、メンバーが部下であれば簡単に行動のインセンティブを与えることができるが、例えば、顧客担当者のように指揮命令権がないメンバーの場合は簡単に行動のインセンティブを与えることができないため(ベンダーのマネージャが顧客担当者をいくら評価しても、顧客担当者の人事考課には直接的に反映できない)、行動のインセンティブの与えかたは難しくなる。筆者はこれらを以下のマトリックスで説明している。


<マトリックス>

以下、マトリックスに沿って具体的に説明する。

エリア(1)

  エリア(1)は自分の支配下にある人材で動機付けが十分されている人材のマネジメントである。このエリアの人材はマネージャとして最も使いやすいメンバーと言える。動機が高い部下であれば、マネージャの裁量でメンバーに行動のインセンティブを与え続けることが可能だからだ。例えば、人事考課を重視する部下であれば、うまくいったら評価を上げてやると約束し、成功したら評価してやり、失敗したらなにが問題だったかを教え、改善してやることが必要だ。ここで大事なのは、評価を欲しがるメンバーには、必ず何らかの評価ポイントを与えること。成功したのにあまり評価してやらないとメンバーは「裏切られた」という感覚が強くなって反発する。特に、自分に自信を持っている人材は評価に敏感だ。これを強く意識しないと、うまくマネジメントできないので注意してほしい。

 また、評価にはあまり興味がなく、新しい知識や面白い経験、スキルの習得が行動のインセンティブになる場合もある。このようなメンバーに評価をちらつかせても、言うことを聞かないことが多い。この場合は、新しい技術部分を担当として与えたり、知識水準が高いことを褒めてやったり、社外人脈を紹介してやるようなことがインセンティブになる。あくまで、行動のインセンティブは人によって違うことを理解し、メンバーとコミュニケーションを深め、彼らが何を一番重視するかを探る必要があるだろう。

 
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