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特集4:現場の事例で学ぶマネジメント連載ヒューマン・マネジメントのテクニック(4)


IT教育コンサルタント 芦屋 広太(プロフィール

 あなたはヒューマン・マネジメント能力に自信をもっているだろうか? マネジメントで最も難しい"人間の問題"、これにうまく対処しなくては仕事の成功はない。"人を動かすためには何が必要か"を理解し、適切に行動しなければならない。

 前回は、エリア(1)のマネジメントについて説明した。自分のミッションを理解しており、かつ「行動のインセンティブ」を理解している人間のマネジメントでは、明確な「インセンティブ」を与えるのが基本だ。しかし、多くのマネージャはそれができていない。部下から見た上司は「やって当たり前と考えている」「褒めない」「失敗した場合は叱責するが、成功した場合は黙っている」━━こんな感想が多い。こんな状況だから、逆にインセンティブをうまく与えることのできる上司は「よい上司」として受け入れられるのである。
  褒めるのは“タダ”、部下が知らない情報を教えてあげるのも、部下の人脈形成を助けてやることも簡単だと思う。何が欲しいのか注意深く調査し、それを与えて喜ばす。相手の喜びは次第に感謝、感動、そして尊敬へと変わっていく。これが相手の感情を理解し、自由自在に動かしていく“エモーショナルマネジメント”なのである。 4回目の今回は、エリア(2)のマネジメントについて説明しよう。

 
 
●エリア(2)のマネジメント


 エリア(2)は自分の支配下にある人材だが、ミッションや行動のインセンティブが分かっていない人材のマネジメントである。このエリアの人材はマネージャとして少し工夫しなくてはいけない。自分のミッションや行動のインセンティブを理解させる行動が必要だからだ。

○ミッションを理解させる

 ここで使っている「ミッション」とは、こなすべきタスクを分かっているという意味ではない。ここでいう「ミッション」とは、「あれをやっておいて」「これをいつまでに終わらせておいて」というレベルの具体的な個別の命令のことを指すのではなく、「目標」のことである。

 例えば、顧客に商品を売り込む場合の提案書作成を部下に指示する場合、「最終的に売る」というのがミッションであり、「提案書を書く」というのがタスクである。「ミッション」を理解していない人間は指示した範囲以外のことをせず、「ミッション」をよく理解している人間は「商談がうまくいくためにどう書けばよいか」を一生懸命考えて書く。

 ミッションを理解している人間は、たとえ自分に経験やノウハウが不足していても、誰か経験のある人間を探してアドバイスを受けたり、上司に「ここはこのように書いたほうが訴求力がある」という提案をしたり、「商品の特徴を訴求したいのですが、ここの書き方を一緒に考えてほしい」という建設的な相談をする。一方、ミッションを理解していない人間は「ここはどう書けばよいか、具体的に文章を教えてほしい」という聞き方をする。両者の違いがお分かりであろうか。自分のミッションを理解していれば、その行動は終始一貫したものになる。だからミッションを理解させることが必要なのである。

○「行動のインセンティブ」を理解させる

 ここでのもう一つの論点として「行動のインセンティブをどう気づかせるか」という課題がある。自分が何をしたら満足するのか? これが分かっていない人間は結構多い。特に、小学校から大学まで受身で過ごしてしまった人間は、多くの場合「仕事とは指示されることをこなすこと」と思い込んでしまっていることが多い。こういった人間に「評価してやる」「情報をやる」「人脈形成を助けてやる」「好きな仕事をやらせる」というインセンティブは効かない。言われたことを就業時間中にやるだけで付加価値の低い仕事をするのである。

 このような人材の扱いに困る上司は多いはずである。このような受身人材は、面接で「何がしたいの、将来どうなりたいの?」と質問しても答えられないから指導しようがない。そんな状態だから、自由自在に動かすのは至難の業。このような人材を生かすには、彼・彼女らにコーチングし、「行動のインセンティブ」を気づかせるしかない。それがマネジメントの第一歩になる。

 では、こういう人材にどのような働きかけをすれば、エリア(1)に移動させることができるのか。その具体的事例を紹介しよう。

 
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