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特集4:現場の事例で学ぶマネジメント連載 ヒューマン・マネジメントのテクニック(8)
 ●希薄だった「改善」というミッション


 もう一つ問題だったのはメンバー達のミッション認識である。チームメンバーは全員、「現行システム維持」がミッションと思っており、「品質を向上させる」というミッションを諦めていたようだった。「自分達の仕事は品質が悪いかもしれないが、とにかくこのシステムを稼動させ続けることである。品質向上は外からきた芦屋の仕事である」――こんな認識であった。

 
 ●ミッション・コントロールの方針

 そこで、筆者はミッション・コントロールを行うために、以下の方針を決めた。

(1)組織としてのミッションを認識させる。
(2)メンバーのスキル・知識・ノウハウを明らかにし、システム改善の担当を決める。
(3)個人にミッションを認識させる。

 この方針を決めたら、後は徹底を繰り返すことが筆者の最初の仕事だ。
 
 ●ミッションを徹底して認識させる

 徹底するには、週一度の会議の席だけでは駄目だ。毎日、常に徹底することが必要になる。メンバーの心に正しいミッションを刻みこむためには、時間中だけでなく、通勤時間、帰宅後、宴会の席、すべての時間を「改善」というミッションで埋めなくてはならない。そこで、筆者はメンバーに積極的に質問を行い、自分のミッションが単なる「維持」でなく、「改善」であることを認識させるようにした。時間中も、休み時間も、昼食中もである。また、週に一回は午後3時から10時までミーティングを行い、改善に関するディスカッションを行う中で、組織のミッション、個人のミッションを認識できるようにした。改善に繋がる発言は大げさに褒め、後ろ向きな発言は前向きな行動に改めるよう誘導した。筆者が彼らに発した言葉は以下のようなものであった。

君たちしかこのシステムは改善できない。君らが頑張って改善しなきゃ。
君らが考えてくれれば、僕が金と人を取ってくるよ。
君らはアイデアをもっているから、後は実行するだけだ。面倒なレポートは僕が作るから、チェックだけしてくれないか。
僕が改善を行うのではないよ。君らが改善を行うんだ。僕はサポートするだけだよ。

 こんな言葉を毎日毎日繰り返した。すると、次第に若手から前向きな発言や具体的な改善策がでるようになってきた。ここまで、1ヶ月くらいだったと思う。どうにか、ミッション認識は上手くできたようである。
 ここまでくると、次のステップに進むことができる。自分達のミッションが認識できたあとは、モチベーションを高めることが必要である。つまり、「改善に向かって行動することが彼らの喜びに繋がる」この動機つけを考えるステップを行う必要があった。
 次回は、この内容について説明したい。


■芦屋 広太(Asiya Kouta)氏プロフィール
芦屋広太氏 OFFICE ARON PLANNING代表。IT教育コンサルタント。SE、PM、システムアナリストとしてシステム開発を経験。優秀IT人材の思考・行動プロセスを心理学から説明した「ヒューマンスキル教育」をモデル化。日経コンピュータや書籍への発表、学生・社会人向けの講座・研修に活用している。著書に「SEのためのヒューマンスキル入門」(日経BP社)、「Dr芦屋のSE診断クリニック(翔泳社)」など。

サイト : http://www.a-ron.net/
ブログ : http://d.hatena.ne.jp/officearon/
連絡先 : clinic@a-ron.net

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