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特集1:あなたが変える!”仕事”の意識を変革する連載 会社を動かすコンサルタント思考術(8)
 今後企業のマネージャーは、「バリューパッケージング力」を高めていく必要があります。如何に顧客メリットのある商品・サービスをパッケージ化できるか、またその実現のために必要な業務機能を的確にコーディネートできるか。これはまさに「プロデュース力」を高めることに他なりません。つまり、バリューパッケージを企画立案・具現化できるプロデューサー的マネージャーが断然必要なのです。

 プロデュース力とは3つの能力に分解できます。(1)マーケットニーズの把握力、(2)専門技術の目利き力、(3)売れ筋商品・サービスへの仕立て力です。



 まず、マーケットニーズの把握はプロデューサーが最も重視するべき能力です。あくまでも目線は社外の「自社顧客」におき、彼らが求めているニーズを注意深く観察します。顧客の未充足ニーズを発見したら、そのニーズを満たすことができる「専門技術」を目利きしていきます。ここで重要なことは、プロデューサー自身は技術の専門家である必要はありません。もちろん専門分野を持っていればベターですが、あくまでニーズを満たすことができる「技術」を発見できる力があればよいのです。社内のどの部署が、あるいは社外のどの企業が最適なのか、選定する能力があればよいのです。優秀なプロデューサーになるためには、常に社内・外の最新動向を収集しておく必要があります。さらに発見した技術を顧客ニーズに合う商品やサービス、あるいは業務プロセスに「仕立てていく」能力が重要です。技術の専門家はその道のプロではありますが、それを顧客ニーズに合わせて「編集」する技術に長けているとは限りません。例えば調達部門のマネージャーは「調達業務」の専門家ですが、顧客視点から部門横断的に調達プロセスを思考できるとは限りません。業務のアウトソーシングが進む今日では、業務専門型マネージャーが企業内で活躍する領域は減少傾向にあります。代わってプロデューサー型マネージャーがますます求められているのです。

 プロデュース能力の重要性を理解する上で非常に参考になる例として、映画業界があります。映画を制作するために、プロデューサーは脚本家・監督・俳優・撮影・照明・美術・編集・スタジオなど各種専門家を最適連携させて、「売れる作品」をプロデュースしていきます。デジタル化が進み、映画制作が高度化・複雑化した今日では、売れる作品として「バリューパッケージング」していくプロデューサーの力がますます重要となっているのです。この例は、顧客ニーズの細分化、業務機能の専門家、アウトソース化が進む一般企業にとっても非常に示唆に富んでいます。今後はますます専門化・複雑化する各部門を社内・外横断的に連携させ、顧客にバリューを提供できる業務プロセスとしてコーディネートすることができるマネージャーが高く評価されていくでしょう。

 それでは、マネージャーはどのようにプロデュース力を高めていけばよいのでしょうか? 答えは、(1)数字による徹底的な「事実」の把握とフィールドでの「現場感覚」を身につけること、そして(2)「作り手」と「買い手」を同時複眼的に見ることができる力を養うことと言えます。(1)については、「マーケットニーズの把握力の強化」、「専門技術の目利き力の強化」につながり、(2)については、「売れ筋商品・サービスへの仕立て力の強化」が目標です。あくまでもユーザー目線で求められるものを捉え、把握している専門技術の中から最適なものを選択し、ニーズに合わせて作りこんでいく過程をできるだけ多く経験することが最良の方法なのです。

 企業は社内に優秀なプロデューサーを抱えることで、競争力を高めることができます。プロデューサーの指示のもと、最適なチームが社内・外から編成され、迅速に顧客対応がなされていく……。まさにプロデューサー型マネージャーが必要とされる所以です。

 下記に今回の「思考の流れ」をポイントで整理してみました。再度確認して見てください。


【思考の流れ】

(1)情報収集
顧客ニーズの把握
専門技術の把握

(2)整理・分析
顧客の未充足ニーズの発見
ニーズを満たす専門技術の選定

(3)統合・解決策の導出
ニーズに最適合致するよう技術を仕立てる

(4)プレゼンテーション
仕立てた技術の提供



■小泉 雅史(Masafumi Koizumi)氏プロフィール
小泉雅史氏 カリフォルニア大学アーバイン校 経営大学院卒業(MBA)
ブランドハンドバッグメーカーにおける商品開発・営業を経て、日本IBMに入社。ビジネスイノベーションサービス(現 IBM ビジネスコンサルティング サービス)戦略グループに在籍し、大手企業を中心としたさまざまな戦略・業務・システム関連のコンサルティングに従事。
その後、大手化粧品メーカー経営戦略室にて全社成長戦略の策定等を手がけ、 現在は、ベンチャー企業の取締役及び経営コンサルタントとして活躍中。

 
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