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特集4:現場の事例で学ぶマネジメント連載 ヒューマン・マネジメントのテクニック(14)

IT教育コンサルタント 芦屋 広太(プロフィール

 あなたはヒューマン・マネジメント能力に自信をもっているだろうか? マネジメントで最も難しい"人間の問題"、これにうまく対処しなくては仕事の成功はない。"人を動かすためには何が必要か"を理解し、適切に行動しなければならない。
 前回は、一般的なシステム開発の参加者とそれぞれのミッション、ニーズの違いについて説明した。
 システム開発プロジェクトに参加する人々の考えはさまざまである。これらの人間を適切にコントロールしていくのがヒューマン・マネジメントである。では、今回からシステム統合に関するヒューマン・マネジメントについて説明していくことにしたい。
 
 ●どういう立場の人間が参加するか
 まず、複数会社で行うシステム統合では、どんな人間たちがどんな立場で参加するのかを説明したい。
 我々が行ったシステム統合は、「片寄せ方式」と呼ばれるものである。これは、ある1つの会社のシステムだけを存続させ、残り6社のシステムは捨てるというものである。
 システムを捨てる6社は、データを残った1つのシステムに移行(データを持ってきて収録すること)する。つまり、家を捨てた住人が、残った家に引っ越すようなものだ。
 当然、元の家の間取りと引越し先の間取りは違うのが普通である。少々比喩的な説明となったが、要は、元のシステムで管理していたデータや機能が残ったシステムにない場合や、新しいシステムにあるのに、元のシステムにその機能がなかったためにデータもないという不整合が起こる。
 このため、機能やデータが残らない会社は困ってしまうのである。何とか元の機能やデータを存続させてほしいと、残るシステムをもつ会社に頼むのである。
 
 ●複雑な人間模様
 例えば、A社、B社、C社、D社の4社があって、A社のシステム(機能)を残し、B〜D社のシステム(機能)を捨てる場合、B〜D社はデータをA社のシステムに持ち込む(移行する)ことになるのだが、B〜D社は自分たちが慣れ親しみ、顧客に提供してきたサービス機能をA社のシステムに委ねなければならないのである。A社のシステムにその機能がなければ、捨てなければならないのだが、このときのB〜D社の苦悩は相当なものである。自分たちのやってきた業務、顧客に提供してきたサービスがなくなるわけだから、業務を変えたり、顧客と交渉し、別のサービスに切り替えてもらわなくてはならないのだ。顧客折衝する担当者から見れば厳しい話である。
 だからこそ、B〜D社はA社に「自分たちのシステムにあった機能」をAシステムにも作りこんでほしい(カスタマイズ)と執拗に要望する。もう必死である。
 A社から見れば、これは「本当に困ったこと」である。カスタマイズには膨大なコストがかかるし、時間もかかる。カスタマイズ部分のテスト(正しくシステムが稼動するか確認する作業)も必要だからである。
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