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特集1:やっぱり大学の就職セミナーじゃダメなんですね……異世代間コミュニケーションの能力開発 若年層教育編
株式会社自分楽研究所代表取締役、横須賀市生涯学習財団評議員
崎山 みゆき(プロフィール
 本当に困っているのは敬語そのものではない
 大学や短大の案内で、就職率のよさをPRすることが増えました。入る前に出口を見せられているようで、なんとなく味気ない気持ちになるのは、私だけでしょうか。学内における就職活動セミナーも、盛んに開かれています。自己分析から始まって、履歴書の書き方、スーツの選び方、メイクの仕方、ビジネスマナーと、至れり尽くせりです。この背景には、1.少子化対策として、就職率のよさで学生の集客を図ろうとしている。2.就職率がよい=大学の面倒見がよいというパフォーマンス。3.有力な企業に卒業生を送り込み大学の知名度を上げたい。4.学生の就労意欲の低下のため。などが考えられます。1に関しては、学校そのものの持ち味ではなく、就職先で人寄せというのは、残念な気がします。4については、東京大学の就職課に業界屈指のリクルート会社が入り、学生の就職活動支援を始めたという記事を記憶されている方も多いと思います。
 ところで、この中で企業が新卒にもっとも求めている「コミュニケーション力」の育成について、学校はどのような対策をとっているのでしょう。以前、ある女子大の就職課の方にコミュニケーション研修の話をさせていただいたところ、「マナーや話し方は外部講師を招いてやっていますから、大丈夫です。」という回答をいただきました。都内のいくつかの大学も同様の回答です。弊社に来ていたインターンシップの学生たちに聞いても、「敬語や話し方は、一度だけですがセミナーを受けました。」というのです。しかし、企業においては一向に、新卒のコミュニケーション力が優れているという話は出ません。むしろ「朝の挨拶ができない」「御客様のところで、雑談もできない」という声ばかりです。大学のセミナーで学んだはずなのに、なぜこんなことが起きているのでしょうか。そこで、就職活動中の大学生約40名に、「年上の人とコミュニケーションをとるときに困ることは何か?」というアンケートを実施しました。結果は以下の通りです。

1位  価値観が違う
2位  話し方
3位  話題がない

 実は、彼らには、敬語ができないというよりも大きな問題があったのです。価値観が違うということです。また、話題がないという回答も、見逃せません。よって、敬語だけを教えても意味がないのです。材料を与えずに、包丁を渡して料理をしなさいというのと同じことを就職セミナーでは行っているのです。どうせ年齢が違うのだから、合うはずがないという思い込みを持つ学生もいました。さて、大学生ですから、アルバイト先で少しは年上の人たちとかかわりがあるのかと推測して、その旨の質問をすると、ほとんどが「ない」と言うことです。居酒屋やピザ屋などの飲食店で働いているのは、大半が学生やフリーターの若年層で、ミドルエイジは正社員の店長くらい。縦社会などとは無縁であり、サークルの延長の横つながり、ということでした。そこで、中高年世代のライフスタイルや働き方について知る勉強会をしたところ、「敬語だけ勉強しても話すネタがないと使えないことがよくわかりました。よく考えたら、中学校や高校で丁寧語は習ったから本を読めばいいのかもしれない。やっぱり大学の就職セミナーだけじゃダメなんですね……」という回答があったのです。
 
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