eラーニングマガジンに関するお問合せ、ご質問等は下記までご連絡ください。
eラーニングマガジン編集部

elmag2@nextet.net

特集1:やっぱり大学の就職セミナーじゃダメなんですね……異世代間コミュニケーションの能力開発 若年層教育編
 事例
 大学生向けに実施したものは、以下の通りです。

1. 自己紹介で自己分析
3分間で「自分の長所」について話す。顔の表情を豊かにし開口をよくする練習も。
2. 学生時代と社会人になって変わる「人間関係」
3. 中高年の社会人のイメージを「ビジュアル化」
45歳の働く男女の絵をマジックで摸造紙に描き、プレゼンテーション
・年収、家族構成、趣味、悩み事、将来やりたいことなど
4. 当った? ズレた? 実際との比較
実際の調査データを示し、学生の発表と比較
5. コミュニケーショントレーニング
・雑談練習
・話のききかた
6. 質疑応答

 上記は、現在、ハローワークなどでも実施しています。若年層の離職防止にも効果がある、という意見もあります。上司や御客様とのコミュニケーションがうまくゆかずに、落ち込んでうつになったり、辞めてしまうというケースが増えているからです。さて、この実施中に以下の3点が明確になりました。1.学生たちは現実の厳しさを理解していない。2.身近であるはずの両親や教師から働く社会人の姿を受け止めていない。3.リストラ・自己破産という言葉を知っている = 現実を知っているということではない。1と3については仕方がありませんが、例えば、一見リストラにおびえる苦労顔の男性が、実は年収1500万円であったりします。このようなことをいって、リストラ等について正確に説明できたとしても、いまいち理解できないようです。2については、大人として自分も責任を感じました。
 次に、企業の若年層向けのものをご紹介します。

1. なぜコミュニケーション力の時代なのか
2. 若年層は「異世代間コミュニケーション」が苦手な理由
3. こんな場面で重要! 異世代間コミュニケーション
4. 解決の鍵は「コミュニケーションプロセス」
・ミス・コミュニケーションの2大理由
・中高年世代とのミス・コミュニケーション4大防止策
5. コミュニケーショントレーニングであなたも能力を伸ばしましょう!
(1)自己理解トレーニング・・・「2分間自己分析」
・自分の現状の業務について
・5年後の自分の生活について
(2)他者理解トレーニング・・・「2分上司紹介」
・重点を置いている業務とその理由
・どんなときに部下を誉めるか
・趣味、特技など

 1.2.3については、パワーポイントで事例を踏まえて講義をしました。4については「聞き間違い」「いい間違い」を、記号の発信と受信のコミュニケーションモデルを使い説明しました。また、中高年とのミス・コミュニケーションについては、老眼や難聴、記憶力の低下、中年以降でも伸びる説明能力などについても触れ、業務を進めてゆく上で、世代特徴を考えてどのように作業分担をすることが好ましいかを、事例を踏まえて紹介しました。「中年世代の上司には、ポイントを上げて資料作成しないと見えないなんて考えたことがなかった!」という声も上がりました。
 5では、2人ペアで2分間の持ち時間で、話をする人と聞く人に分かれ(1)の自己理解は、業務や将来のビジョンについて、(2)の他者理解は、上司をどれほど知っているかについて話をしていただきました。ところが、案外つまってしまう人が多く、なんとなく一緒に仕事をしているものの、上司のビジョンや人となりを理解していない人が多いことがわかりました。皆さんはいかがでしょうか。以下は、アンケートで出た「職場で異世代の方たちとコミュニケーションをとる際に困っていること」です。

1. 共通の話題に乏しく、うちとけようと思っても会話が続かない。
2. 課長(40代後半)との一般的な会話で、話を聞くことはできるが、どのような内容の話をしたらよいか分らないことがある
3. 話を聞いても自分に何を求められているのかわからないことがある。質問するタイミングもつかめない。
4. 雑談の内容についていけない。(共通の話題が少ない)
5. 上司の冗談が面白くなく、愛想笑いをするのに疲れる。話題が合わない
6. 年齢層が高くなるにつれて、会話の中で専門用語が多すぎて理解できない。

 上記を総括すると、4点が主だった意見となります。1.上司との共通の話題がない、2.自分の伝える能力に自信がない人が多い、3.上司の専門用語が多すぎて話の内容が飲み込めない、4.質問のタイミング、どこまで質問していいか分らず、聞くことをしり込みしてしまう。自分がその年齢を過ぎると、若年層のコミュニケーション能力が低いと見なしがちですが、こうして客観的にみると、中高年世代にも問題があること、トレーニングで解決できることもかなりあることに気づきます。最後に、研修全体の受講者の方たちの感想を紹介します。

A氏:「企業が新人に求めている一番の能力がコミュニケーション力であったというのは、非常に驚きでした。今まで就職には専門能力が大切だと先生に言われ続けていたので、チャレンジ精神や技術力、ポテンシャルのほうが上と認識していました。私たち若年層はコミュニケーションが苦手ですが、そのままでいいと思っているわけではありません。悩んでいるけれども、解決法が見つからないのです。異世代と関わる機会が少ないため、価値観の違う人々と関わりあうことに慣れていません。それを補う意味では今回の研修はとても有意義であったと思います。次の研修があるのであれば、実際に中高年の方はどういった価値観を持っているのか。なにに重きを置いているのか。中高年が若年層をどう見ているのか。等を教えていただけますでしょうか。私を含め、多くの若年層は違うことには気づいているけれど、どう違うのかを理解していません。」



B氏:「自分をわかっていなければ、他者を理解することは出来ないということも勉強になりました。研修で自分の5年後の姿について話す機会がありましたが、漠然とした目標だけでなく、具体的な目標が話せなくてはいけないと感じました。このことも、一見、コミュニケーション能力に関係ないように感じますが、先生が『コミュニケーション能力の低い人は、自分のなりたい姿がはっきりしていない人』とおっしゃっていたように、コミュニケーション能力に関係していることを知りました。他者を理解するためも、まず、このような自己理解を深めていきたいと思います。」



C氏:「私は新入社員ということもあり、仕事において感情表現はあまりしてはいけないイメージがありますが、感情表現をしないと自分が損をするということを学びました。先生がおっしゃっていた、自分を抑えすぎて体調を崩して会社を半年間休んでしまった例のように、コミュニケーションの不足で周囲にも迷惑をかけてしまうこともあると知りました。職場において仕事を円滑に進めるためにも、感情表現やコミュニケーションは不可欠だと学びました。」


 いかがでしょうか、部下をお持ちの方や、お子様が企業でがんばっておいでの方たちにとっては、若年層の育成について、参考になることも多い意見ではないかと思います。

 最終回では、若年層の育て方について「コミュニケーション」と「働き続ける能力」をキーワードに事例でお話しいたします。新卒の方も、五月病が吹き飛びます! ご期待ください。



■崎山 みゆき(Sakiyama Miyuki)氏プロフィール
崎山 みゆき氏 株式会社自分楽研究所代表取締役、横須賀市生涯学習財団評議員 桜美林大学大学院国際学研究科修士課程修了(MA)  所得資格 産業カウンセラー、余暇生活開発士、健康管理士など   短大卒業後、IT企業に就職、資格取得を機会に人材育成・社内イベント企画に従事。その後、フリーランスの講師として独立。2000~2002年にコミュニケーション能力開発の研究のために、仕事と家庭を両立しながら修士取得。現在は、「異世代間コミュニケーション能力開発」「オトナに対する教え方」などオリジナルコンテンツを活かした教育コンサルテーション・研修・講演・執筆と幅広く活動している。また、学生のキャリア開発、地域活性化にも貢献している。趣味の華道は師範の腕前。自慢は、故郷の横須賀が大好きなこと。専門分野 コミュニケーション能力開発、キャリア開発、生涯学習論、ライフデザイン

著書
「大学院で学歴リセット」 2005年4月20日 ディスカバー21
「エンジニアのためのコミュニケーションの技術」2005年10月22日 あさ出版
論文
「ミドルにはミドルの教え方がある」2004年1月号から 産労総合研究所 「企業と人材」  その他多数

〒-103-0003 東京都中央区日本橋横山町 3-1-701
電話03-3664-8894
FAX 03-3664-8895
HP 090-7945-5078
E-mail : sakiyama@jibungaku.com
URL : http://jibungaku.com

back
 
 

この記事の感想をお寄せください

お名前:
 (省略可)
メールアドレス:
 (省略可)
コメント:

Copyright©2006 Next Education Think.All Rights Reserved.
掲載の文章・画像の無断使用・無断転載を禁止します。
特集1:やっぱり大学の就職セミナーじゃダメなんですね……異世代間コミュニケーションの能力開発 若年層教育編
(2)
   
特集2:組織の緊急課題への取組みを支援する連載 個人情報保護とプライバシー取得の知識(8)
   
特集3:eラーニングコース紹介 オンライン英会話スクールの老舗 グローバル・コミュニケーションズが運営!オンラインTOEIC(R)模試「e-test」
   
特集4:現場の事例で学ぶマネジメント連載 ヒューマン・マネジメントのテクニック(18)