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特集2:カッコ悪くて人間くさい人が幸せな勝ち組になる!異世代間コミュニケーションの能力開発 若年層教育編 最終回
 (3)改めて「教える」を考える
 ところで、昨今「コーチング」という手法がはやっていますが、私はここであえて「教える」と言う事の大切さを強調したいと思います。大半のコーチングという名のつく研修では、相手の能力を「引き出す」ことが強調されています。しかし、引き出すと言うのは相手が知識や経験を持っている場合です。コップの中に水が入っていれば、傾けると中から水が溢れ出てくるでしょうが、空では何も出てきません。よって、若年層にはまず水を入れてあげる「教える」という作業が大切です。

 では、どのようにして教えるかですが、まず「なぜ」を大切にする事です。なぜ、必要なのか、やらなくてはならないのか。「決まっているから」では動きません。動機付けというよりは、意味付けが必要なのです。これを私は昨年の新卒研修のアンケートで確信しました。ご紹介しましょう。

 「今日の研修には、なぜがあったから、理解できた。今まで決まっているからと言ってマナーやルールを教えられたが、何でやらなくてはならないのか、さっぱりわからなかった。両手で名刺を渡せと言われても、誰も理由を教えてくれなかったが、今日はじめてわかった。そういえば、大切なものは両手で持つと気付いた。」

 彼女はとても真面目な大卒女子でした。年齢が若すぎるとか、社会経験が特別に少ないというわけではありません。このように、単にやれと言っても動きませんが、なぜという理由を説明すればやるのが今の若年層なのです。従来の体験学習の手法は、体で覚えて、理論を諭していました。しかし、昨今の若年層においては時に逆の方が効果的です。理論で諭して体で覚えさせる。現代っ子は頭でっかちです。

 この事例を馬鹿にしては、若年層教育はできません。原因は、私達大人なのだということを認識して取り組む事が大切です。

 もちろん、若年層にも考えるべきところは沢山あります。その中で、これだけは!という点をご紹介して締めくくりたいと思います。

  それは、上司・先輩の全てをわかる事はできないということです。私たちのパーソナリティは、それぞれの経験を通じて育ちます。しかし、生まれてから今まで、自分とまったく同じ経験をした人はいません。たとえ双子であっても、片方が宿題をしているときに、もう片方は漫画を読んでいたりします。ですから、他人の上司・先輩と自分がまったく同じ経験をするなどもってのほかです。よって、パーソナリティも違って当たり前、全てをわかる事は不可能なのです。では、こんな中で、どうすれば信頼関係ができるのでしょうか。それは、わかろうという努力や歩み寄りをすることです。できなくても、相手のためにジタバタともがいてみる。そんな少し格好の悪いところに、人間は感動をして、信頼関係が生まれるのです。

  最初からわかったような顔をして、ジタバタしないような人は、信頼などされません。相手の気持ちがわからない、といって悩む繊細な若年層の方が増えています。しかし、わからなくて当たり前、かっこ悪くジタバタしてみてください。きっと、そんなあなたを上司・先輩が助けてくれます。これは、逆の立場でもいえるかもしれません。

  異世代間コミュニケーションの最終回は、どうも、カッコ悪くて人間くさい人が幸せな勝ち組になるという結論となったようです。皆様のお役に立てることが、ひとつでもありましたら幸いです。



■崎山 みゆき(Sakiyama Miyuki)氏プロフィール
崎山 みゆき氏 株式会社自分楽研究所代表取締役、横須賀市生涯学習財団評議員 桜美林大学大学院国際学研究科修士課程修了(MA)  所得資格 産業カウンセラー、余暇生活開発士、健康管理士など   短大卒業後、IT企業に就職、資格取得を機会に人材育成・社内イベント企画に従事。その後、フリーランスの講師として独立。2000~2002年にコミュニケーション能力開発の研究のために、仕事と家庭を両立しながら修士取得。現在は、「異世代間コミュニケーション能力開発」「オトナに対する教え方」などオリジナルコンテンツを活かした教育コンサルテーション・研修・講演・執筆と幅広く活動している。また、学生のキャリア開発、地域活性化にも貢献している。趣味の華道は師範の腕前。自慢は、故郷の横須賀が大好きなこと。専門分野 コミュニケーション能力開発、キャリア開発、生涯学習論、ライフデザイン

著書
「大学院で学歴リセット」 2005年4月20日 ディスカバー21
「エンジニアのためのコミュニケーションの技術」2005年10月22日 あさ出版
論文
「ミドルにはミドルの教え方がある」2004年1月号から 産労総合研究所 「企業と人材」  その他多数

〒-103-0003 東京都中央区日本橋横山町 3-1-701
電話03-3664-8894
FAX 03-3664-8895
HP 090-7945-5078
E-mail : sakiyama@jibungaku.com
URL : http://jibungaku.com

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