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特集4:株式会社インストラクショナルデザイン 中原孝子が考える 2007年「ASTD State Of Industry Report」から人材開発部門の役割の変化に対応した人材開発のポートフォリオ
株式会社インストラクショナル デザイン 代表取締役 中原 孝子(プロフィール
 

 ■2007年「ASTD State of Industry Report」の概要

 今年も「ASTD State of Industry Report」が発表された。これは、ASTD ベンチマークフォーラム(27企業、平均従業員数70,400人、平均年間給与総額 US$4,513,000)とBEST企業(アワード受賞企業 39企業、平均従業員数 60,400人)とベンチマークサーベイ企業(281企業、平均従業員数 8,200人、平均給与総額 US$403,000)の企業からのデータを基に作られたレポートで、アメリカベースのグローバル企業だけではなく、ヨーロッパやアジアの企業も参加している。人材開発投資の比較データ、ラーニング投資と位置づけている学習(組織・人材育成)比較指標項目は、大きくは投資額での比較指標とHRD効率での比較指標に分けられている(下図参照)。
 
 
 従業員一人当たりに対する年平均人材投資額は、ベンチマークフォーラム企業で1,430ドル、BEST企業で1,470ドル、ベンチマークサーベイ企業で950ドルとなっており、年間給与総額に対する人材開発投資額の比率はすべての企業で2.5%前後。2005年経済産業省の通商白書の日本企業における人材投資額(2002年度分)の実に10倍である。

 今回のレポートで特筆されていたのは、テクノロジーベースの学習機会の提供の増加であった。ベンチマークフォーラム企業、BEST企業では40%を占め、ベンチマークサーベイ企業でも30%、となり、コンテンツの再利用(61%)による学習機会を提供するプロセス、量、質の効率化がBEST企業では特筆すべき点として言及されていた。これらのテクノロジーベースの学習は、必ずしもオンデマンド的な非同期型eラーニングだけではなく、同期(Web Casting)型の学習形態が増えていること、また、アウトソース傾向が一段落し、内製化(それぞれの企業の特性の沿ったコンテンツを開発)しているようである。
 

 ■BEST企業のポートフォリオ

 BEST企業に特徴的にみられたのは、HPIのプロセス(下図)の中の原因に対してのソリューションが、バランスよく提供されていることだ。
 
 
イベントとしての学習機会58%、
組織開発9%、
業務プロセス分析・業務改善8%、
特定業務用ツール・リソースの提供 7%
タレントマネジメント 5%
ナレッジマネジメント 5%
パフォーマンスフィードバックの仕組み 3%
パフォーマンス指標の提供 2%
モチィベーションマネジメント(Nonインセンティブ)2%
インセンティブ 1%

となっており、「研修」というイベントベースの提供だけが人材開発部門の役割ではなく、統合的なアプローチが重要になっていることが伺える。特に近年注目されているのがOD(組織開発)といわれる部分やプロセスの改善などであるが、イノベーションを進め、変化に対応していく上で、個人の能力の開発に注力をしていたコンテンツベースの従来型人材開発プログラムでは組織を支える人材開発部門としての機能が担うことができなくなっている現状がわかる。

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