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特集3:現場の事例で学ぶマネジメント連載 ヒューマン・マネジメントのテクニック(26)
 ● 「相手の判断に頼る質問」では問題が見抜けない

 相手が「自分の判断で回答できる」質問では、問題を見抜くことは難しい。ここで自分の判断で回答できるとは、以下のような質問及び声かけである。

[相手が自分の判断で回答できる質問及び声かけ]
大丈夫か。
問題ないか。
進捗はどうか。
順調か。
何か私がやることはあるか。
何でも相談してほしい。
問題があれば、私に言ってくれ。

 これらが、なぜ駄目かを考えてみよう。実は、これらは全て「相手の尺度」に委ねているからである。危ないのは相手の尺度はいくつかの理由で「実際とは異なること」を見せるということだ。

 具体的に考えられるの「実際とは異なること」とは、@能力不足、認識不足による「誤報告」や、A問題を上司やPMに知られたくないという「虚偽の報告」などがある。どちらも問題で、プロジェクト現場では頻繁に発生している厄介な事象である。

 だからこそ、プロジェクトマネージャの責務として、この「@誤報告」とA「虚偽の報告」は確実に排除するように行動しなければならない。

 では、どんな質問をすればよいのか。それは簡単である。相手が自分の判断で回答できない質問――主観的な回答ではなく、できるだけ客観的に回答できるものにすればよい。

PM: 設計の進捗今、誰が、誰と、どのドキュメントを使って行っているのか?この一週間の担当者毎のスケジュールと作成ドキュメント、仕様検討の議事録を見せてほしい。
メンバー: はい。こちらです。
PM: メンバーAのドキュメントが他のメンバーのドキュメントと比べ、極端にレベルが異なる。これは、どういう理由か?
メンバー: 実は、メンバーAは、体調が芳しくなく、3日間休んでいました。その間他のメンバーがカバーしたので。
PM: 了解。Aのエリアを見直そう。ここでリスクホール(リスク顕在化につながる可能性がある穴)になるかも知れない。すぐ関係者を集め、協議しよう。
メンバー: はい、了解しました。

 エビデンス(証拠)を必ず提出させるような質問は、本当の進捗、課題把握がしやすくなる。優秀なPMは質問に関するこういうテクニックをいくつももっているものだ。

 次回も、これに関することを説明していきたい。


■芦屋 広太(Asiya Kouta)氏プロフィール
芦屋広太氏 OFFICE ARON PLANNING代表。IT教育コンサルタント。SE、PM、システムアナリストとしてシステム開発を経験。優秀IT人材の思考・行動プロセスを心理学から説明した「ヒューマンスキル教育」をモデル化。日経コンピュータや書籍への発表、学生・社会人向けの講座・研修に活用している。著書に「SEのためのヒューマンスキル入門」(日経BP社)、「Dr芦屋のSE診断クリニック(翔泳社)」など。

サイト : http://www.a-ron.net/
ブログ : http://d.hatena.ne.jp/officearon/
連絡先 : clinic@a-ron.net

 
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