MCP(Model Context Protocol)/その用語、自分の言葉で説明できますか? 新シラバス対応「最新DX用語」解説10回講座 Vol.3

はじめに

前回は「RAG(Retrieval Augmented Generation)」を取り上げました。生成AIが社内資料や特定のデータを参照することで、より正確な答えを出せるようにする仕組みでした。生成AIを企業で使うためには、「正しい情報を参照させる仕組み」が重要になる、という話でした。

次に考えるべきことは何でしょうか。
生成AIが社内のさまざまなシステムと安全に連携できるようにすることです。例えばカレンダー、顧客管理システム、社内文書、業務アプリ。これらの情報をAIが正確に、横断して使えるようになると、仕事の進め方は大きく変わります。そのときに重要になるのが、「MCP(Model Context Protocol)」です。

MCPとは何か

MCPとはModel Context Protocolの略で、生成AIやAIエージェントが外部のシステムやデータと接続するための共通手順・ルール(プロトコル)のことです。
生成AIを単体で使う場合、ユーザーが質問を入力し、AIが答えるという流れになります。この場合AIが扱える情報には限界があります。必要な情報は、その都度人が入力しない限り、AIは参照できません。一方、AIが業務システムと接続できるようになると状況は変わります。カレンダーを確認する、社内文書を検索する、顧客情報を参照するといった作業をAIが行えるようになります。
重要なのは、単に情報を見るだけではなく、必要な機能を「ツール」として呼び出せる点です。予定を確認、顧客情報の取得、資料を検索といった作業を、AIが状況に応じて選択、実行できるようになります。
MCPは、この「AIがツールを使って仕事を進める」ための接続ルールを共通化する仕組みです。

なぜMCPが必要なのか

企業のシステムは種類が多く、それぞれ接続方法が異なります。個別に接続を作っていくと、開発や管理が非常に複雑になります。
例えば
・カレンダーはこの接続方法
・顧客管理は別の方法
・文書管理はさらに別
といった状態になると、AIがそれぞれに対応するのは現実的ではありません。
MCPはその接続方法を共通化し、AIが複数のシステムを横断して使えるようにします。
AI活用が広がるほど、「AIの性能」自体ではなく「どうつなぐか」がボトルネックになります。MCPはそのボトルネックを解消する考え方です。

身近なイメージ 「共通の差し込み口」

MCPは、電化製品のコンセントを考えてみるとイメージしやすくなります
家電製品は、メーカーごとに違う形のプラグを作ってしまうと、コンセントに差し込むことができません。そのため、共通の規格が決められています。
MCPは、AIとシステムの接続における「共通の差し込み口」です。共通ルールがあることで、AIはさまざまなシステムをスムーズに利用できるようになります。

APIとの違い

ここで「それはAPIと同じではないのか」と思う方もいるかもしれません。
APIとは、システム連携のための“呼び出し口”です。これまでは、人がプログラムを書いてソフトウェアからAPIを呼び出し、処理を実行していました。一方MCPは、AIが自律的に多様なツール/データソースを選び、共通化して利用することを前提に設計されています。

つまり、
・API:機能を呼び出すための接続手段(個別仕様になりやすい)
MCP:AIがツールやリソースを共通形式で扱うための接続ルール

という違いがあります。
AIエージェントが業務を進めるためには、「どのツールを使うか」を自分で判断し、呼び出せる設計が重要です。そのための接続方法を揃える役割を担うために作られているのがMCPです。

仕事での活用例

例えば営業担当者がAIに「来週の顧客訪問の準備をしたい」と相談したとします。
MCPによってAIが社内システムと接続できる場合、次のような作業が可能になります。

・カレンダーを確認して訪問予定を把握する
・顧客管理システムから顧客情報を確認する
・過去の提案書や資料を検索する
・最新の商品資料を整理する
これらの情報をまとめたうえで、AIが「今回の訪問ではこの提案が適している」といった提案までを出すことができます。
人が一つずつ確認していた作業が、まとめて一つの作業として実行される。これがMCPによって可能になります。

まとめ

MCPは、生成AIやAIエージェントが外部システムと接続するための共通ルールです。生成AIの活用は、単体で使う段階から、業務システムと連携して使う段階へ進んでいます。その中で重要になるのは、AIの能力だけではなく、「どのシステムとどうつながるか」という設計です。
RAGが「正しい情報を使う仕組み」だとすれば、MCPは「AIがシステムを使って作業を実行できるようにする仕組み」です。
AIを実務で使うためには、RAGとMCPを組み合わせて使うことが重要です。

ポイント

MCPはAIと外部システムを接続するための共通ルール

AI活用は単体利用からシステム連携の段階へ進んでいる

接続設計と安全性(権限管理、アクセス制御)の確保が企業利用では重要になる

理解を深めるためのもう1Step

生成AIを使っていて、「このAIが社内の資料やシステムを直接使えたら」と感じたことはないでしょうか。
実際にAI活用は、単体のツールとして使う段階から、さまざまなシステムと連携する段階へ進み始めています。
AIの能力だけでなく、AIをどのように「つなぐか」
この視点で身の回りの業務を見直してみてください。
それが、DX理解を一段深めるきっかけになります。

この記事の著者

DXビジネスアンバサダー

岸 晶子

きし あきこ

この記事の著者

都市銀行勤務後、出産を経て専業主婦に。3人の子育てが一段落した際にデジタルリスキリングを実施。その経験を活かしDXビジネス教育に関するコラム記事や大学向け教材作成などを手がける。