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特集4:現場の事例で学ぶマネジメント連載 ヒューマン・マネジメントのテクニック(9)

IT教育コンサルタント 芦屋 広太(プロフィール

 あなたはヒューマン・マネジメント能力に自信をもっているだろうか? マネジメントで最も難しい"人間の問題"、これにうまく対処しなくては仕事の成功はない。"人を動かすためには何が必要か"を理解し、適切に行動しなければならない。
 前回は「ミッション・コントロール」の具体例について説明した。やる気を失い「ミッション」を見失っていたメンバーに、「ミッション」とは何かを筆者がミーティングを通して継続的に伝えていく過程がお分かりいただけたと思う。
 業務を遂行するためには「自分が何をなすべきか」を常に考え、具体的な行動に落としていくことが重要である。したがって、「ミッション」を認識させることが改革的リーダーの仕事になる。これを理解してほしい。
 それでは、今回は「モチベーション・コントロール」について説明したい。モチベーション(動機)は仕事を行う上で非常に重要な要素である。
 やっかいなことに、動機付けは一度行ったらそれで終わりということはない。時間の経過とともに、動機を落とすノイズ(動機を落とす障害要因)は多くなる。そこで、これらのノイズを適切に把握し、メンバーの動機を高い状態に維持することが必要になる。これも、リーダーの重要な仕事なのである。
 
 ●モチベーションと成功の関係


 モチベーション(動機)は簡単に言うと「やる気」であり、成功に対する意欲ということである。仕事、特に難しい目標をもった仕事にはさまざまな困難が伴うので、何がなんでも成功させるという意欲が欠かせない。意欲がなければ困難に屈する。なぜなら、基本的に人間は困難を好まない。したがって、意欲(動機)がなければ困難を回避し、楽なルートを選択してしまうからだ。
 例えば、新しい企画を通すことを考えてみよう。一般に新しいことは周囲の反対にあうことが多い。
「前例がないから」「リスクを伴うから」「今のままでもよいのではないか」「成功させる自信があるのか」……。
 このような、いわゆるネガティブな意見を上司、同僚、部下に言われることが多い状態で企画者がどのような行動をとるかが興味深い。
 意欲(動機)がない場合は周囲の反対に簡単に負けてしまう。反対する人間達と戦う(コストを払う)ことをしてまで、企画を通す理由がないからだ。
 実際、筆者もこのような状況を経験している。筆者に意欲がない状態で反対している周囲を説得することはほとんど不可能である。なぜなら、多くのエネルギーを使って上司を説得するメリットが存在しないからである。このような状態では、筆者の交渉力、ドキュメント力などは使われることはない。早々と企画を取り下げるのみである。
 しかし、意欲がある場合は違う。ひとたび、成功意欲をもった人間はさまざまな手を使って成功に導く努力を行う。反対されても簡単には諦めない。成功するまで何度でも根気よく周囲を説得しようとする。多くの場合、周囲はその熱意に打たれたり、粘りに負けて反対→賛成に動くようになる。よほど変な企画でなければ、粘りに負けて賛成するようになるのである。
 これは、論理を通り越した世界と言ってもいいだろう。意欲をもった人間は、その企画を成功させることが報酬であるが、反対する人間は「反対すること」に意欲をもっていないことが多い。つまり、反対者はなんとなく「前例がない」から反対するのであって、信念をもって反対していることは少ないのである。
 したがって、企画が通る大きな条件は意欲(動機)であると考えることができる。実は、多くの企画はその企画自体の完成度よりも、その生みの親である企画者の意欲が成功を左右するといっていい。筆者はこれまでのシステムプランニング経験でこのことを痛切に感じている。

 
 ●テクニックよりも動機


 これまでの説明をまとめると、「目標達成に必要なのはテクニックよりも動機である」といえよう。したがって、テクニックを教えるよりもまず「動機付けを行うこと」を重視しなければならないというのが筆者の自論である。この自論をもって、筆者はメンバーを導くことにした。「どうしたら動機付けができ、それを維持することができるか」――筆者はこれを常に考え、メンバーに施す必要があったのである。

 
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