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特集2:あなたが変える!”仕事”の意識を変革する連載 会社を動かすコンサルタント思考術(5)
経営コンサルタント 小泉 雅史(プロフィール
 第五回:上司や顧客を感動させる思考のコツ

 コンサルタントはよく「企業の変革者」と言われます。迅速に経営上の問題を洗い出し、深く分析し、トップにプレゼンする――。なぜ彼らがさまざまな問題に果敢に取り組み、短期間でクライアントを納得させる解決策を提示できるのか。それは、「視点」と「思考の流れ」にあります。本連載「会社を動かすコンサルタントの思考術」は、仕事上のさまざまな問題をコンサルタントはどのように捉え・考えていくのか、その思考術を解説して、読者が「会社を動かす変革者」になるためのスキルを効率的に身に付けられるようにしていきます。


■業務上の問題例
 営業部門からマーケティング部門に異動してきた新任Y課長が担当として任されたのは、マーケティング部門が抱えるブランドの中で今後の成長を期待されている戦略ブランド「Z」。Y課長の使命は、この新規ブランドを会社の新たな柱になるまで成長させることです。営業畑が長かったY課長は常々発売された製品をできるだけ沢山売ることに全力で取り組んできました。しかし、新たに配属されたマーケティング部門では、単なる販売ではなく、市場・顧客ニーズに基づく「売れる仕掛け」を作ることが求められています。つまり、ニーズの調査から製品開発、宣伝・販売企画まで一貫して顧客の視点から考える思考です。従来販売業務に集中していたY課長は発想の転換を図るべく、早速来季に向けた新製品開発業務から着手することにしました。まずは徹底的に顧客の声を拾い、ニーズを整理しました。多くの顧客の意見が共通するテーマについて洗い出し、そこから次期製品のコンセプトを抽出していきました。コンセプト案が固まった段階で、一旦社内会議でプレゼンすることになりました。顧客の声を丹念に拾い集めたコンセプトには正直自信がありました。ところが、会議での評価は今ひとつ。決して悪くはないのですが、新ブランドに期待される「新規性・斬新さ」に欠けるとのコメントでした。マーケティング志向を徹底して顧客の声に耳を傾けてきたのに、なぜ評価者を熱くするようなコンセプトにならなかったのでしょうか。従来にはない魅力を持った、顧客を感動させる製品を開発するには、どのような考え方で取り組めばよいのでしょうか。Y課長はすっかり悩んでしまいました。

■問題を捉えるコンサルタントの視点
 前回の連載では、「会社を成長させるマーケティングマインド」について説明しました。マーケティングマインドとは「人を感動させ、喜ばせたいという気持ち」のことでした。今回は、そのようなマーケティングマインドを実践する際の思考のコツについて書いてみようと思います。つまり、上司や顧客を感動させるには、どのように考えて仕事をしていけばよいかというお話です。

 まず、感動させる仕事をするには仕事の依頼者、つまり、社外では顧客や取引先、社内では上司や同僚の期待をできるだけ正確に把握することが重要です。彼らがどのような課題を抱えていて、何を期待してあなたに仕事を頼んできているのか。顧客であれば、会社に何を望んでいるのかについて、できるだけ注意深く知る必要があります。このような思考方法は一般的なマーケティング用語では「マーケット・イン思考」と呼ばれています。つまり、ひとりよがりに陥らず、依頼者のニーズを常に第一に置く考え方です。マーケット・イン思考を実践する一般的な方法としては、依頼者ニーズのヒアリングやアンケートによる定量調査などが挙げられます。「まずは、上司に仕事の意図を尋ねてみよう」と考えることがマーケット・イン的思考方法と言えます。一方、対比される考え方として「プロダクト・アウト思考」があります。プロダクト・アウト的思考方法は、既存の製品や技術をどう売っていくか、つまり起点は提供側にあります。仕事で言えば、「自分ができることをできる方法でしよう」とまず考える、あるいは会社であれば、今ある製品をいかに大量に販売するかに意識を集中する考え方です。しかしながら、モノあまり時代の現代ではプロダクト・アウト的思考では成功し難いと言われています。なぜなら、顧客ニーズは細分化しており、変化も早いため、製品・技術を起点とした発想だけでは、有望な市場を十分捉えきれないからです。そこで、「マーケット・イン思考」の重要性が強調されているのです。

 しかしながら、今回のテーマである「上司や顧客を感動させる」仕事や製品は、じつはマーケット・イン的思考やプロダクト・アウト的思考のどちらからも生まれ難いのです。それは、マーケット・イン思考の常套手法である「ヒアリングやアンケート調査」では上司や顧客の顕在化している期待、つまり彼らが気づいている「事柄」中心の洗い出しに終始することが多いからです。人はすでに知っていることや気づいていることを「成果」として見せられても感動はしません。感動は「期待を裏切る」ことによって産出されるからです。つまり、彼らが発する言葉をそのまま拾いあげて具現化しても、それは感動する仕事や製品にはならず、「既存の改善」にとどまることが多いのです。これがマーケット・イン思考の留意点であり、限界でもあります。一方、前述のとおりプロダクト・アウト思考だけでは、現在の細分化した顧客ニーズは捉えきれませんし、顧客ニーズの細分化に対応して複雑化した社内業務にも的確に応え難いでしょう。

 
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