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特集1:ITSS 新たなステージへ『ITSS Users' Conference 2006』最新レポート〜セミナー編〜
 ITSSユーザー協会ワーキンググループ活動報告セミナー
 ITSSユーザー協会には、いくつかのワーキンググループが存在し、企業のIT人材の育成やスキル評価・管理のためにITSSを有効活用するにはどうしたらよいか、活用者の立場で企業を横断して課題を共有、検討し解決策の討議や実証研究を行っています。カンファレンスでは、各ワーキンググループの活動成果について報告がありました。
 
 「スキル定義委員会」
報告者:スキル定義委員会委員長 樽谷謙二氏 
 「スキル定義委員会」委員長の樽谷謙二氏(株式会社ITアソシエイツ ITSS事業推進部 チーフマネージャー)からは、「なぜスキル定義が重要なのか? 〜スキル定義(スキルコンテンツ)を人材育成に活かす方法〜」と題して活動報告がありました。「スキル定義委員会」の前身である「実証・研究WG」で2500項目のスキル定義(コンテンツ)が整備されました。ITSSが「辞書」であるならば、このスキル定義(コンテンツ)は「辞書内の詳細な項目そのもの」。スキル定義委員会は、このスキル定義(コンテンツ)の改善、メンテナンスを目的に活動しています。ITSSのスキル領域からブレイクダウンした2500のスキル定義(コンテンツ)を使って「自社の目標人材像」をモデリングし、より効果的な人材育成につなげていくのが狙いです。今後も、より具体的、汎用的、わかりやすく活用しやすいスキル定義(コンテンツ)を目指して継続的、絶え間ない改善を進めていく予定とのことです。また、IPA ITスキル標準センターと連携を深め、ITSSバージョン2に対応したスキル定義(コンテンツ)を作成していくということです。なお、本スキル定義(コンテンツ)は、ASPスキルインベントリツール「SSI-ITSS」に搭載されています。
 
 「教育研修ワーキンググループ」
報告者:教育研修ワーキンググループ副主査 斉藤実氏 
 「教育研修ワーキンググループ」副主査の斉藤実氏(株式会社ネクストエデュケーションシンク代表取締役社長)からは、2005年度の活動について報告がありました。教育研修ワーキンググループの2005年度の目標は、「ITSSに準拠した効果的な人材育成を推進するためのガイドやツールの提供」ということでしたが、その成果として2004年度開発した「ITSS教育ガイド」の一般公開と「ITSS教育ガイド」へ各学習コースを登録する際の指針としての"「ITスキル標準」対応研修コース登録ガイドライン"の発表がありました。「ITSS教育ガイド」は、ITSSの項目に沿って、約2000の学習コースから目的の研修・セミナーやeラーニング、通信教育などを検索することができます。また、"「ITスキル標準」対応研修コース登録ガイドライン"では、各学習コースを「ITSS教育ガイド」へ登録するポイントとして「1.ITスキル標準の「研修ロードマップ」(ver.1.2)を基準にした入力を行う」「2.研修コースのレベル付けは「研修ロードマップ」(ver.1.2)の「研修コース群(体系図)」を基準に行う」「3.当該研修コースがどのスキル項目や知識項目を教育内容とするか明示する」「4.研修コースが各スキル項目や知識項目を教育内容としてどの程度扱うかを明示する」「5.研修コースのカリキュラムを明確にする」「6.登録各社がITSSユーザー協会会員の場合、本登録ガイドラインに従って入力した研修コースについては、"ITSSユーザー協会策定の「ITスキル標準」対応研修コース登録ガイドラインに準拠"という表現を使用することができる。また、本登録ガイドラインに準拠していることを示す"ITSSユーザー協会認定ロゴ"を使用することができる」を掲げました。なお、今後の活動方針としては、現在の「ITSS教育ガイド」への登録活動を継続するとともに、登録されている各学習コースの実証(ガイドラインに沿って登録がなされているかや内容の実証<モニタリング>)、およびISV認定試験マップ(「ITSSスキルフレームワークとITベンダー試験の関係<Ver.1>」)の改訂の検討を考えていると述べられました。
 
 「人材マネジメント交流会」
報告者:人材マネジメント交流会主査 福嶋義弘氏 
 「人材マネジメント交流会」主査の福嶋義弘氏(NECソフト株式会社 ITトレーニングセンター センター長<「教育研修ワーキンググループ」主査も兼務>)からは、本交流会の目的や活動概要について報告がありました。「人材マネジメント交流会」の目的は「ITSSと人材マネジメントの融合を図るための情報交換や事例紹介などの研究会を行うこと」であり、活動内容として「1.ITSSを人材育成、人事制度の導入のベストプラクティス企業の事例紹介の実施」「2.ITSSに準拠する人材マネジメントに関するテーマのワークショップの実施」の2点をあげられました。2005年度の活動としては、第一回の会議の結果として「人事制度や育成制度での活用時におけるITSSの課題を提言したい」「人事制度への導入シナリオ、および人事制度導入の可否を検討したい」「ITSSの指標の正当な評価方法を変更したい」「ITSS活用のモデル(ガイドライン)を作成したい」などの意見が活発に出たことから、まず事例の収集を開始することを目的と定め、第二回、第三回の会議において、株式会社日立システムアンドサービス、日立電子サービス株式会社、NECソフト株式会社のITSS導入事例の発表を実施したとのことです。なお、交流会メンバーからは「人材活用の観点から適材適所の配置により企業利益に結び付けられる」「スキル熟達度が判断材料として有効でありスキルを活かすように企業全体で検討することが肝要」といったものから、「達成度指標、スキル熟達度意外にコンピテンシーなども必要」「人を活かすにはITSSだけでは不足である」等といった多彩な意見が交換されたとのことです。今後の活動として、「人材マネジメントを実践する企業の事例紹介を実施する」「ワークショップはテーマを決め適宜開催」「人材マネジメントへ活用するためのガイドや提言の作成」をあげられました。
 
 「導入コンサルタント認定委員会」
報告者:導入コンサルタント認定委員会員 石川拓夫氏 
 「導入コンサルタント認定委員会」では、ITSSの普及を促進するために、各企業においてITSS導入活用を推進する推進者と教育と認定、他企業に対して導入コンサルティングができるコンサルタントの認定を平成18年度から実施予定です。委員の石川拓夫氏(株式会社日立システムアンドサービス 人財開発部部長<※ 当委員会委員長は駒谷昇一氏(NTTソフトウェア株式会社 エンタープライズソリューション事業グループ営業SE部門)>)からは、その概要について報告がありました。
 まず、当委員会の設立の背景として「ITSSの普及を促進するためには、自社におけるITSS導入の推進役となる人材の育成と、ITSS導入に関するコンサルティングができる人材の育成と相互に情報交換ができるコミュニティが必要」だったとし、ITSSユーザー協会が考える認定として「1.ITSS導入推進者(ITSSを自社内で導入を行う場合の推進者)」「2.ITSS導入コンサルタント(ITSSの導入や活用について、他者に対してコンサルティングができる人材)」「3.ITSS導入企業認定(ITSSをベースに人材マネジメントシステムがきちんと構築している企業)」の3つがあると述べられました。そして、協会が持つITSS導入活用事例の情報などをベースに「ITSS導入推進者」および「ITSS導入コンサルタント」の教育と認定を実施していく旨を述べられました。
 
 「SFIA連携委員会」
報告者:SFIA連携委員長 渡邊美鈴氏 
 「SFIA連携委員会」委員長の渡邊美鈴氏(セントラル・コンピュータ・サービス株式会社 科学ソリューション事業本部)からは、「SFIA最新情報」と題して報告がありました。「SFIA連携委員会」は、約2年先行している英国のITスキル標準SFIAから導入・支援などの制度を学び、ITSSの普及と発展に役立てること、および共同研究や意見交換を行うことを目的としています。SFIAはカテゴリー別に分類したスキルとレベルの2次元のフレームワークとして表されていますが、IT業界の変革に伴って内容が更新され、2005年11月10日に開催された「SFIA Conference 2005」で「SFIA3.0」が公開されました。カテゴリーが整理されたほか、「Strategy & planning」「Development」「Business change」「Service provision」などが新しいスキルとして定義されたこと、そして、英国内からEU全体へと地平を広げているとの最新動向報告がありました。なお、SFIAから学んだ成果は、まず「導入コンサルタント認定委員会」への情報提供ということから活動を開始するとのことです。
 
 『ITSS Users' Conference 2006』を振り返って
 『ITSS Users' Conference 2006』を振り返って感じたのは、IT人材育成への投資が待ったなしの状況にあり、IT産業に携わるすべての人間が危機感を持って切磋琢磨していかなければ、日本のIT産業は低迷してしまうのではないかということです。そのための道具の1つとしてITSSがあり、どのように活用していけばよりよい教育効果を得ることができるのかということを、経営者や個々人が真剣に考える段階に入りつつあるということでした。

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