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特集4:現場の事例で学ぶマネジメント連載 ヒューマン・マネジメントのテクニック(15)
 ●参加会社の反応

 全体会議で説明したときの会場の反応はさまざまであった。「当然」という顔でうなずく人たち、「不安そう」な顔でこちらを見るひとたち、「不満そう」な表情で身をこちらに乗り出す人たち、筆者にとっては、予想通りの反応であった。
 そして、質問を募ると「本当にカスタマイズはできないのか、金は出す」という声があがった。筆者の答えは一つである。「ただいま説明した通りでございます。今回のシステム統合は、カスタマイズをすることは考えておりません」と言うしかない。これを徹底することが、筆者のプロジェクトマネージャーとしてのスタンスであるからだ。全体会議が終わった後、会場には、不満が残る人たちが残った。筆者の考えを変えようとするためであった。
 
 ●あの手、この手の要求

 会議が終わった後、数人がかわるがわる筆者のところに来て「カスタマイズ要求」してきた。これも想定内だが、対応には非常に気を使う。「説明では、カスタマイズはしないといっていたが、個別相談には応ずるのですよね」、「カスタマイズなしでは、当社は参加できない。それでもよいのか」、「上司からカスタマイズは必須と伝えてこいといわれた。このままでは帰れない」こんな悲鳴めいた話を受けるが、筆者はスタンスを変えるわけにはいかないのである。筆者の答えは「残念ながらカスタマイズはできません。そういうスキーム(枠組み)を承知されて参加されたはずですが・・・」こういうしかないのである。はじめが肝心である。ここで、周囲の泣き落としや圧力に屈すると、後で統合プロジェクトが頓挫する可能性が高く、プロジェクトマネージャーとしては、絶対譲れない。あくまでこの時点では「スタンス」を貫くことが正解なのだ。
 次回は、「カスタマイズ」をしてほしいと強く要望する人たちが、どんな方法で筆者を説得しようとしたのか、そして、筆者が、それに対し、どのように反論していったのかを紹介する。



■芦屋 広太(Asiya Kouta)氏プロフィール
芦屋広太氏 OFFICE ARON PLANNING代表。IT教育コンサルタント。SE、PM、システムアナリストとしてシステム開発を経験。優秀IT人材の思考・行動プロセスを心理学から説明した「ヒューマンスキル教育」をモデル化。日経コンピュータや書籍への発表、学生・社会人向けの講座・研修に活用している。著書に「SEのためのヒューマンスキル入門」(日経BP社)、「Dr芦屋のSE診断クリニック(翔泳社)」など。

サイト : http://www.a-ron.net/
ブログ : http://d.hatena.ne.jp/officearon/
連絡先 : clinic@a-ron.net

 
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