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特集2:M&A企業のモチベーションが危ない!M&Aと人材開発部門の役割
株式会社インストラクショナル デザイン 代表取締役 中原 孝子(プロフィール
 「戦略的人材開発プランニングのためのインストラクショナルデザイン」などの公開セミナーに、M&A後の人材開発部門の方が参加されることがよく見られるようになりました。

 大型のM&Aがあったここ数年ですが、「組織」としての統一性や小さな単位になったときの意思決定のプロセス、ひいては、仕事のプロセスもそれぞれの元組織の体制のままであったり、1つの会社としての意識の統合までに数ヶ月から1年以上を要していたりと「人」の面でギクシャクした関係になっていること、つまり、組織としての「統一」への移行期間に苦悩している組織が沢山あるようです。本来の目的が、企業価値の向上であるはずのM&Aによって、逆に人材のモチベーションが下がってしまっては、M&A効果を上げるまでに良い人材がいなくなってしまう可能性すらあります。中には、持ち株会社だけ作って体制はそのままというケースもあると聞きますが、それでは、何のためのM&Aなのかわからなくなってしまいます。
 M&Aの際に望まれる人材開発部門の役割はなんでしょうか? 人材開発部門は、どのようにM&Aの効果を上げることに貢献できるのでしょうか。
 経営陣によるM&A後のビジョンや戦略の明示、どのような組織になっていくのかの明示を大前提として、人事戦略の元にM&A後の組織学習をどのように形成させていくのか、その学習の仕組みやビジョンの共有をどのように浸透させていけばよいのかを企画・実行、支援していく重要な役割を担うと人材開発部門は考えられます。単に、人事的な仕組みとしての人材配置による交流だけではなく、「学習」を促す「仕組み」と動機付けをいかにシステマティックに行うことができるかが、M&Aによる「人財的」企業価値の向上をスムーズに生み出すことになると考えられます。
 つまり、人材開発部門には、より一層の戦略的なソリューション提供能力が求められているということではないでしょうか。

 では、M&Aにおいて人材開発部門に求められる仕事とはなんでしょうか?
 まず、インストラクショナルデザインの考え方から、戦略的人材開発プログラムを作るためのラーニングストラテジスト(ストラテジスト:戦略を設計する立案者のこと)としての枠組みを考えて見ましょう。
 

(c)株式会社インストラクショナルデザイン
 
 M&Aによる経営戦略の方向性に基づき、「人財開発ポリシー」の策定がまず必要です。
 何を新しい組織の「人財」に伝えていかなければならないのか、統合された組織の中での相互間学習を進めるための「組織学習ポリシー」といってもよいかもしれません。
 その上で、組織的な学習をすすめる上での組織ニーズ、研修ニーズは何か、新しい組織とそれぞれ「元」組織との間にあるギャップを調査する必要がでてきます。
 「研修」の開発だけを目指す場合は、知識やスキルなどのギャップを査定することだけでよいのですが、組織間学習を促し、M&Aによる相乗効果を上げるための「ナレッジ」の共有化を進めるためには、まず、それぞれの組織がもっていた「ナレッジ」や「スキル」の明確化や、人財開発のインフラ構造を知る必要があります。それにより、それぞれの組織から何を学ぶべきなのかを見極め、何をどのように統合するのが効率的なのかを検討していきます。
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