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特集4:現場の事例で学ぶマネジメント連載 ヒューマン・マネジメントのテクニック(17)

IT教育コンサルタント 芦屋 広太(プロフィール

 あなたはヒューマン・マネジメント能力に自信をもっているだろうか? マネジメントで最も難しい"人間の問題"、これにうまく対処しなくては仕事の成功はない。"人を動かすためには何が必要か"を理解し、適切に行動しなければならない。
 前回は、準備の重要性を説明した。利害が対立する参加者をうまくコントロールしていくためには、彼・彼女の言い分(主張)を予想し、それに論理的に反論できる話法を準備しておくことが重要である。できれば、事前に同じ会社の仲間とシミュレーションしておきたい。とっさに、うまい言葉は出てこないものである。そこで、どんなときにも適切な言葉が出てくるように準備しておくのである。
 では、今回はこれらの準備についてより具体的に説明していこう。
 
 ●マネジメントの準備

 利害が相反する立場の人たちをコントールしていく局面で、最初に考えなくてはいけないのは体制の構築である。体制とは、誰が、どんな役割を持つかということである。
 体制は、組織で仕事をしていくなかでは必ず必要になるが、特に、今回のようなケースでは大切になる。
 これはなぜか分かるだろうか? この答えは、かつての私の失敗談を使って説明したほうが分かりやすいだろう。
 
 かつて、私が若いときにシステム統合を初めて担当したときの話である。 このときも、筆者は、参加者の利害が対立する中でのマネジメントを担当していた(当時は、サブマネージャの立場であった)。
 私自身は、他の会社に「カスタマイズはしない、コストは使えない」と言って、徹底したつもりであったが、同じ会社の西島(仮名)が変な動きをしてしまった。
 西島は統合化で存続するシステムの保守リーダであり、システムを熟知しており、温厚で人情味のある男であった。驚くことに、他社の人間は、筆者と交渉するのではなく、筆者より年上で、温厚、システムをよく分かっている西島と話をしてしまうことになった。そして、こともあろうに西島には、マネジメント感覚はないため、温情で「カスタマイズは可能であり、実施できる」という約束を独断でしてしまったのである。
 これに驚いた筆者とプロジェクトマネージャの大橋は大急ぎで参加各社に西島の発言は、会社の公式な発言ではないということを説明したが、プロジェクトは大混乱してしまった。
 このとき以来、筆者は参加会社と公式に話をする窓口(交渉する人)は最初から明確に決め、それ以外の人間には公式な発言は認めないことにした。そうしないと、酷い目にあうことを実体験として学んだからである。
 
 ●体制の考え方

 まず、他社との交渉窓口を一本化すべきである。交渉には、冷静で論理的な話ができる人間を担当させるべきである。過去に同様の経験があれば最良に違いないが、通常、そんなに恵まれた体制を組むことは難しいと思う。
 そこで、メンバーとしてアサインできる人のなかから、基礎能力があり、比較的若いサブリーダクラスを選抜して育成するのもよいと思う。
 交渉は体力勝負である。常に頭と身体を使っているので、体力がないともたないのである。
 交渉担当者の人選ができたら、本人に動機付けを行い、そして、ほかのメンバーには勝手に他社と交渉しないように注意徹底することが必要である。ただし、ここでは言い方にコツがいる。「君たちが話すと危ないから」という雰囲気を伝えないように注意したい。この言い方を間違えるとほかのメンバーの動機レベルを下げることになるのでくれぐれも注意してほしい。
 
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