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特集1:経営トップが語る 我が社の成長と人材育成(第1回)弛まぬベンチャースピリットに貫かれた企業拡大の軌跡と人材の成長【前編】グッドウィル・グループ株式会社 代表取締役社長 兼 COO 川上真一郎氏
グッドウィル・グループ株式会社 代表取締役社長 兼 COO
川上 真一郎(プロフィール
 ご経歴と立ち上げ前期
Mr.サイトウ:本新連載では、「人材育成」をテーマにして、成長企業の経営トップの方々に順にお話をお伺いする企画でございますが、まず第1回目として業界TOPになられ急成長をされておられますグッドウィル・グループ株式会社の川上社長にご登場いただきました。まずはご経歴からお伺いして参りたいと存じます。

川上真一郎氏:1986年に中央大学を卒業しまして、新卒で入りましたのが株式会社カナデンという三菱電機グループの商社でした。そこで自分は最初にFA(Factory Automation)機器の販売営業に携わりました。主に工場を中心に営業をしておりまして、FAのコンピュータだとか生産管理システムなどを販売しておりました。そして、1994年に株式会社サイクという会社に専務取締役として入りました。旧来から株式会社サイクの社長である佐藤氏と大学の学友だったものですから、「いつかは一緒に会社をやろう!」というようなことを志していました。実は、すでに大学時代に佐藤氏とともに学生ベンチャーのようなものをやっていたのです。そういったところから満を持して、実際は1992年から会社を設立してカナデンと二束のわらじを履きながらやっていたのですが、 1994年にカナデンを退職して株式会社サイクという会社に専務として就任しました。

Mr.サイトウ:株式会社サイクという会社はどのような会社なのですか。

川上真一郎氏:株式会社サイクというのは、グッドウィルの前身になります。主に市場調査だとかマーケティングだとかがメインの会社です。企業からマーケティング調査を請け負ったりとかですね、イベントだとか販促キャンペーンなどを企業がやりたいといったときに、企画から運営までお手伝いするというようなことをしていました。そのような仕事の体験を通じて、「『人材』というものにニーズがあるな」ということを感じていました。人材サービスというのは、例えば、イベントを随分手がけたのですが、イベントは三日間だったり一週間だったり一ヶ月だったりと必ず期間というものがあります。イベントというものは、いわば人海戦術ですから、そこで毎回アルバイトを雇用して、その人たちに教育をして、実際の期間中に教育したものを発揮してもらう。しかし、その三日間ないし一週間でイベントが終わってしまうと、またアルバイトさんは戻ってしまう。そして、また三ヵ月後に同じクライアントから同じイベントを実施してくれといわれた場合、またアルバイトを採用して……、ということがありました。これが非常に無駄だなと思いまして、そういうところで、どこの企業様もお悩みなのであれば、人材を短期間で集めてビジネスができるようなシステムがあれば面白いと思ったのです。そう思って1995年に創ったのが、いまのグッドウィルという会社です。
 31歳でグッドウィルを起業
Mr.サイトウ:失礼ですが、そのときは何歳でいらしたのですか。

川上真一郎氏:31歳ですね。

Mr.サイトウ:随分とお若いときに会社を立ち上げられたのですね。

川上真一郎氏:最初は5人ではじめました(株式会社サイク自体も5人しかいませんでしたが)。新宿のマンションオフィス15坪、家賃20万のところを借りましてそこから本格的に自分のビジネスをはじめました。その中には、私のほか佐藤氏、いま会長の折口がいました。実は、株式会社サイクという会社は、あまりうまくいかなかったというかトントンだったのですね。プラスマイナス0ぐらいでした。そこで、もっとできることはないかと考えてグッドウィルを創ったのです。もともとそういうノウハウをある程度蓄積しておりましたので、初年度から(五ヶ月決算で)約九千万くらいになりました。翌期は十億までいきまして、四十億、六十九億ととんとん拍子で行きました。

Mr.サイトウ:すごいですね。

川上真一郎氏:でも、当初は大変でした。最初の1995年の二月に会社を立ち上げてから、三〜四ヵ月ぐらいは家に帰らなかったです。15坪のマンションオフィスにずっと泊まっていました。寝心地が悪くて疲れが取れず、とても困りました(笑)。

Mr.サイトウ:ニーズがものすごく大きかったということですね。

川上真一郎氏:もともと前身がマーケティング専門にやっている会社だったので、どうやったらお客様に訴求できるかだとか、どうやったら適切なスタッフを集められるかだとか、そういったノウハウを熟知していた部分がある程度ありましたから、すぐにブレイクして急成長を遂げることができたのかなと思います。
 苦労した時期のこと
Mr.サイトウ:急成長というと一瞬にして儲かったというイメージがありますが、ご苦労はなかったのですか。

川上真一郎氏:とても苦労したことがあります。三月から四月が一番人材がいる時期なのですが、春の入学シーズンだとか就職だとか転職だとかで、最初は引越し会社様ですとか内装会社様ですとかイベント会社様からの仕事が多かったのです。そのときは、日払いで払っていましたから、お客様からオーダーをいただいて弊社のスタッフが当日働いた分の給与はその日に払わなくてはなりません。でも、お客様のご入金は翌月末や翌々月末が一般的です。つまり、キャッシュが先に出てしまうビジネスなのです。立ち上げ時の資本金は一千万でしたから、四月の中旬になってからは毎日ATMに記帳に行きました。毎日三十万ずつ減っていく様子が印字されており、「これは危ない」と感じました。そして、通帳の残高が二百万から百万円になったとき黒字倒産するかと思いました。売上は月次で二千万円くらいだったのですが、それは五月とか六月に入金されるもので今月は入らない……。本当に底を突きそうになってしまい、スタッフに支払いができなくなったら暴動が起きるかもしれないと考えたほどです。でも、我々の給料はいいからとにかくスタッフに回せということで動きました。それと平行して、全員東奔西走して親戚縁者や知人・友人から資金を借りて来たりなどということをやっていました。そして、どうにかこうにかしてようやく資金繰りをつないだのです。事業自体はうまくいっていたのですが、当初の資金繰りには本当に苦労しました。一番つらかったですね。お金がない――金策というのが本当に大変だったのです。小さな会社でしたから、銀行に見向きもされませんでしたし、いまでこそエンジェル、ベンチャーキャピタルなどが、そのような会社を支援するインフラが整っていますが、十数年前は「実績がないとお金は貸せない」「担保は?」ということで、お金がない、借りることができないというのが本当につらかったのです。そして、その状況は五月、六月になっても変わりませんでした。
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