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特集1:経営トップが語る 我が社の成長と人材育成(第1回)弛まぬベンチャースピリットに貫かれた企業拡大の軌跡と人材の成長【前編】グッドウィル・グループ株式会社 代表取締役社長 兼 COO 川上真一郎氏
 急成長を導いた成功の仕組み
Mr.サイトウ:そこでどうされたのでしょうか。

川上真一郎氏:金融機関からの融資を受けられなかったので、それならベンチャーキャピタルに頼もうと六月に「事業計画書」を作ったのです。内容は向こう五年間の事業計画で、「この五年間で売上百億にする」と。そのような壮大な計画を立てまして、五社ほどあたったのですが、そのうち一社から二千万円ワラント債を発行してもらうことができました。その代わり「五年以内に上場」というのが先方の条件でした。また「全国展開するように」という条件もありました。そのときはすでに二店舗目が横浜にあったのですが、関東だけでは上場は難しいということを言われまして、すぐ大阪に店舗を作りました。

Mr.サイトウ:すごいスピードですね。

川上真一郎氏:二千万円入って、店舗を作るのもたいしたコストではなくなりましたから、政令指定都市にも十店舗即展開しました。では、管理者は誰にするかということになって、東京からほとんどの人間を転勤させ、また、そこにはネットワークもなければならないということで、システムもすぐに開発しました。

Mr.サイトウ:その頃の川上様のお仕事はどのような状況だったのですか。

川上真一郎氏:とにかく「五年以内に上場」というのがありましたので、また立ち上げ時と同様の状況でした。つまり、三ヶ月から四ヶ月間ぐらいでしたか、札幌に行って仙台に行って、名古屋に行って大阪に行って、広島に行って福岡に行って東京に帰ってくるという生活でした。それで、札幌に行って何をするかというと電話帳をめくりまして不動産屋にいい物件はないですかと探しまわりまして、物件が決まったら、今度は中古什器屋さんです。新品の什器などとても購入できませんから、また電話帳で調べて、そこまで行って、それを軽トラックで運んでくると……。そんなことをやっていました。

Mr.サイトウ:御苦労が偲ばれます。ところで一店舗あたり何人ぐらいでスタートされるのですか。

川上真一郎氏:三名から五名くらいですね。その中で社員は一名だけです。残りはアルバイトです。アルバイトも、求人誌にすぐ「札幌支店新規オープン オープニングスタッフ募集」といった求人広告を出して集めました。そして社員がたった一人で教育するのです。「マーケティングはこうやって、営業はこうやるんだぞ」みたいにですね。そして、企業側には「前日の15時までにオーダーいただければ、翌日一人から最高百人まで人材が出せます。時間は最低二時間でもOKです。もちろん普通に八時間労働でも大丈夫ですが、時間を超過した場合は残業代をいただきます。当日オーダーいただいてもOKです」ということをうたい文句に仕事をはじめたのです。そして、企業などにはがきを送ると結構お仕事をいただくことができました。「そんなに素早く人材を集めることができるのであればグッドウィルに頼もう」と。

Mr.サイトウ:スタッフにはどのように訴求されたのですか。

川上真一郎氏:「全額日払いです」というのがよかったようです。それと「好きなときに予約して働くことができます」ということもあると思います。というようなことで、企業のお客様とスタッフをマッチングさせていきました。

Mr.サイトウ:当時競合する会社はなかったのですか。

川上真一郎氏:幾つかありました。しかし、それよりもマーケットがすさまじく広がっているという状況があったので、あまりぶつかるということはなかったのです。でも、競合よりもお客様の目をこちらに向けさせるという工夫は常にしていました。

Mr.サイトウ:周りの状況を素早く見渡して、ポイントを掴み、工夫して事業を拡大されてきたのですね。

川上真一郎氏:それもありますが、たまたまマーケットが追い風で需要が非常に大きかったのがよかったのだと思います。それに付け加えさせていただきますと、立ち上げ時の資金繰りに窮し、多くの方からご支援をいただいたときに、「何としてでもこの事業は成功させなければ」と強く思ったのです。当時お世話になりました方々への感謝の気持ちは、今でも忘れません。私は、サイクやグッドウィルを創ったときには、すでに結婚していましたし、子供も一人いました。カナデンという一部上場企業を辞めて、たった五人の会社に入りましたから責任を感じました。「失敗したら後戻りはできない」――そういったときの火事場の馬鹿力というのも大きかったと思います。

後編(技術人材の育成と世界一の人材ビジネスへのチャレンジ)につづく



■川上 真一郎氏プロフィール
川上 真一郎氏 1963年生まれ。1986年中央大学商学部を卒業。
卒業後、株式会社カナデンにて7年勤め、29歳で現在のグッドウィル・グループの前身となる株式会社サイクを立ち上げる。
1995年、31歳のときに5人で人材サービス会社「株式会社グッドウィル」を設立。以降、1999年7月にジャスダック上場。2004年3月には東証一部上場を果たす。設立から12年、今では売上高5,500億、従業員約14万人を率いるホールディングカンパニーへと成長。
現在は、グッドウィル・グループ株式会社の代表取締役社長 兼 最高執行責任者と、株式会社グッドウィル・エンジニアリングの代表取締役会長を兼任する。

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