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特集4:現場の事例で学ぶマネジメント連載 ヒューマン・マネジメントのテクニック(25)
 ● 目立たないPMがすごい。

 若い頃、私は「PMは、リーダであり、目立つ憧れの職種」と信じていた。しかし、本当に優秀なPMはそうではない。「地味で、日陰の役割」という認識が強い。つまり、優秀なPMは、主役はメンバであり、自分はメンバのサポートをするという認識が強いのである。

 これを聞いて「なるほど」と思ったものだ。たしかに、PMが目立つプロジェクトは課題の発生と解決の頻度が多い。いつも問題が発生し、PMが動いて解決している。これが、一種の派手さになって、周囲の記憶に残るのである。ハラハラするが、最後はうまく終われるプロジェクトのマネージャ。こういう人は認知度も高く、目立つので有名人になっていく。

 しかし、本当の優秀なPMは目立たない。プロジェクトがハラハラしないままで終わるからだ。粛々と計画をし、作業が進む。うまくプロジェクトコントロールをしているから、揉めることもなく非常に静かである。

 ● 関与の強さ

 こんな目立たないPMほどメンバの仕事に深く関与している。だからこそ、問題を起こさないのである。具体的には仕事のやり方が違うのだ。関与が低いPMは、指示を出して、メンバから検討結果がでるまで、あまり口を出さない人が多い。そして、結果をみて文句を言う。それは、こんな言葉で表現される

イメージが違う。
内容が分からない。
こんなことは指示していない。
なんとなく違う。
誰がこれを指示したのか。

 こんなことを言われたメンバのモチベーションは著しく低下する。そして、ますますPMとの距離が広がってしまう。

 一方、優秀PMは違う。

 指示の主旨からメンバと一緒に考え、アウトプットのイメージをすり合わせ、途中積極的に報告を促すのである。一つの仕事に何回も関与するのである。こんなプロセスで完了した仕事は、PMの仕事そのものであるし、メンバには、PMの仕事の進め方が伝わっている。

 仕事の精度と教育。よいPMは同時に2つの成果を目指す。これが、「優秀PMのチームビルディング」なのである。

 では、次回も、PMの関与について続きを説明していくことにしよう。


■芦屋 広太(Asiya Kouta)氏プロフィール
芦屋広太氏 OFFICE ARON PLANNING代表。IT教育コンサルタント。SE、PM、システムアナリストとしてシステム開発を経験。優秀IT人材の思考・行動プロセスを心理学から説明した「ヒューマンスキル教育」をモデル化。日経コンピュータや書籍への発表、学生・社会人向けの講座・研修に活用している。著書に「SEのためのヒューマンスキル入門」(日経BP社)、「Dr芦屋のSE診断クリニック(翔泳社)」など。

サイト : http://www.a-ron.net/
ブログ : http://d.hatena.ne.jp/officearon/
連絡先 : clinic@a-ron.net

 
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