A2A(Agent to Agent)/その用語、自分の言葉で説明できますか? 新シラバス対応「最新DX用語」解説10回講座 Vol.5

はじめに

前回は「AEO・GEO」を取り上げました。生成AIに読まれ、回答に使われることを前提に情報の形を整える、という考え方でした。AIにどう使われるかを意識することが情報発信の前提になりつつあります。

今回のテーマは「A2A(Agent to Agent)」です。AI同士が連携して仕事を進める考え方を解説します。

 A2Aとは何か

A2Aは「Agent to Agent」の略で、AIエージェント同士が連携して業務を進める考え方です。
これまでのAI活用では、一つのAIに対して人が指示を出し、そのAIが結果を返す形が一般的でした。しかし実際の業務は、一つの作業で完結することはほとんどありません。

例えば、
・情報を集める
・内容を整理する
・分析する
・資料としてまとめる

といった、複数の工程が組み合わさっています。
これらを一つのAIにすべて任せようとすると、指示が長くなり、意図とずれたり、結果の精度が安定しないことがあります。
A2Aでは、これらの作業を分解し、それぞれの工程を別のAIに分担させます。そしてAI同士に連携させながら仕事を進めていきます。

整理すると
単体AI → 一つのAIがすべてを処理する
A2A → 複数のAIが役割分担し連携して処理する

という違いになります。

なぜA2Aが必要なのか

業務は単純な作業の集まりではなく、複数の判断や処理が連続しています。
これを一つのAIにすべてを任せようとすると、
・処理が複雑になる
・精度が下がる
・意図しない結果が出る

といった問題が起きやすくなります。

一方でA2Aでは、役割ごとにAIを分けることで、処理の流れを整理できます。
・調査は調査用AI
・分析は分析用AI
・文章化は文書作成AI

このように分担することで、それぞれの工程の精度が安定し、全体としての品質も上がります。人の仕事でも、すべてを一人でやるより、役割を分けた方が効率が上がる場合があります。それと同じことがAIにも当てはまります。

身近な事例 :「提案書作成のA2A」

営業提案書を作る場面を考えます。
従来は、担当者が情報を集め、分析し、資料を作っていました。生成AIを使う場合も、一つのAIに対して「提案書を作って」と指示することが多いと思います。

それに対して、A2Aでは次のように分けます。

1.調査AIが市場情報や顧客情報を収集
2.分析AIが競合比較や課題整理を実施
3.文書作成AIが提案書として整形

AIが次のAIに結果を引き渡しながら進めることで、全体として一つの提案書が完成します。
この工程では人は細かい作業から離れ、「全体の方向性が合っているか」「最終判断として適切か」を見る役割を担うことになります。

A2Aで変わる人の役割

A2Aが進むと、人の役割は変わります。
これまでは
・自分で作業する
・順番を考えて進める

ことが中心でした。

A2Aでは
・どの工程を分けるか考える
・どのAIに何を任せるか決める
・結果を見て判断する

ことが中心になります。
つまり「人が全部やる」から「人は全体を見て決定する」へと役割が変わります。

一方で注意も必要です。AI同士が連携することで、処理の流れが見えにくくなります。どのAIがどの判断をしたのかが分からなくなると、問題が起きたときに原因を追いにくくなります。
役割分担と同時に、どのエージェントがどの入力・判断・出力を行ったかログで追えるようにするなど、責任の所在を明確にしておくことが重要です。

まとめ

A2Aは、AI同士が役割分担して連携することで、業務を進める考え方です。

AI活用は
・単体で使う段階
から、
システムとつながるMCP ※接続の標準化
・役割分担して連携するA2A

へと進化してきています。
人の仕事も、作業そのものから、全体の判断や意思決定へと重心が移ります。
A2Aを活用するためには業務を分けて考え、どの順番でつなぐかを考えることが重要になります。

A2Aイメージ

ポイント

A2AはAI同士が役割分担して連携する仕組み

業務を分解し、適したAIに任せることが重要

人の役割は作業から判断・意思決定へ変わる


理解を深めるためのもう1Step

普段の業務を一つ思い浮かべてください。
それを「情報収集」「分析」「整理」といった単位に分けてみましょう。
その上で、それぞれを別のAIに任せるとどうなるかを考えてみてください。
一つのAIにまとめて頼むのではなく、分けて、つなぐ。これがA2Aの第一歩です。

この記事の著者

DXビジネスアンバサダー

岸 晶子

きし あきこ

この記事の著者

都市銀行勤務後、出産を経て専業主婦に。3人の子育てが一段落した際にデジタルリスキリングを実施。その経験を活かしDXビジネス教育に関するコラム記事や大学向け教材作成などを手がける。