レビューマーケティング/ライブコマース/その用語、自分の言葉で説明できますか? 新シラバス対応「最新DX用語」解説10回講座 Vol.9

はじめに

前回は、「ショート動画」と「動画・音声生成AI」を取り上げました。ショート動画は、伝える内容を絞り、相手の関心を引き、詳しい情報や次の行動につなげるための情報発信形式でした。

では、商品を知り、興味を持った人は、企業から提供された情報だけで購入を決めるでしょうか。ネットで商品を選ぶとき、私たちが確かめたいのは、「実際に使った人はどう感じたのか」「自分の使い方にも合うのか」といった、購入後の利用者の声です。また、分からないことをその場で質問できれば、さらに判断しやすくなります。

今回のテーマは、「レビューマーケティング」と「ライブコマース」です。企業が一方的に商品の魅力を伝えるだけではなく、利用者の体験を共有したり、その場で質問に答えたりしながら、購入判断を支える考え方を解説します。

レビューマーケティングとは何か

レビューとは、商品やサービスを購入・利用した人が投稿する評価や感想のことです。星の数、短いコメント、写真や動画付きの体験談など、さまざまな形があります。

レビューマーケティングとは、このような利用者から寄せられた評価や感想を、購入検討者への情報提供や、商品・サービスの改善に活かす考え方です。

企業発信の商品説明や広告は、どうしても「企業が伝えたい特徴や魅力」が中心になります。一方レビューには、実際に使った人が感じた良かった点だけでなく、使いにくさ、想像と違った点、どのような人に向いているかといった情報も含まれます。

購入を検討している人にとっては、企業の説明だけでは分からない「利用後の姿」を想像する材料になります。

整理すると、

・広告→企業が「伝えたい」商品の特徴や魅力を伝える

・レビュー→利用者の「実際の体験」を伝える

という役割の違いがあります。

なぜレビューが重要なのか

インターネットで商品を購入する場合、実物に触れたり、店員に直接質問したりできない場面が多く、購入者は、商品説明とともにレビューを読み、自分の使い方に合うかを判断します。

企業にとっても、レビューは「販売のための手段」だけではありません。「説明が分かりにくい」「サイズ感が想像しにくい」「手入れに手間がかかる」といった声は、商品ページや説明方法の見直し、商品改善のヒントにもなります。 ここで大切なのは、良いレビューだけを集めて見せることではありません。良い点も悪い点も含めて利用者が判断できる状態にすることが、信頼につながります。

ライブコマースとは何か

ライブコマースとは、インターネット上で動画を生配信し、商品を紹介しながら販売する方法です。視聴者は配信を見ながらコメントで質問し、紹介者はその場で答えることができます。配信画面から商品ページへ進み、購入までできる場合もあります。

録画された商品紹介動画との大きな違いは、双方向であることです。

・商品紹介動画→あらかじめ用意した内容を視聴者に伝える

・ライブコマース→視聴者の反応や質問に合わせて、その場で説明を調整できる

写真や文章だけでは伝わりにくいサイズ感、動き、使い方、素材感などを見せられるうえ、購入前の疑問をその場で解消できる点が強みです。

レビューマーケティングとライブコマースの仕組み
▲レビューマーケティングとライブコマースのモデルの違い

身近な事例:調理家電をオンラインで選ぶ

初めて調理家電を買う場面を考えてみましょう。

商品ページには、サイズ、機能、消費電力などの基本情報が書かれています。しかし、購入者が本当に知りたいのは、「台所に置くとどのくらいの存在感か」「毎日の手入れは大変ではないか」「動作音は気にならないか」といった、使ってみなければ分かりにくいポイントです。

レビューがあれば、実際に使った人の写真や感想から、生活の中で使うイメージを持てます。さらに、ライブコマースで実際に動かす様子を見て、「部品は取り外して洗えますか」「二人分でも使えますか」などと質問できれば、自分に合うかを判断しやすくなります。

レビューが、既に使った人の体験を伝え、ライブコマースが購入前の疑問を解消する。二つを組み合わせることで、購入者の不安を減らすことができます。

活用にあたって注意すべきこと

一つ目は、レビューの透明性です。企業が都合の良い意見だけを掲載したり、関係者が一般利用者を装って投稿したりすると、信頼を大きく損ないます。商品提供や謝礼がある場合には、その事実が利用者に分かるように表示し、誤解を生まないようにすることが大切です。

二つ目は、レビューとの向き合い方です。低評価を削除することを考えるのではなく、内容を確認し、必要に応じて回答し、改善につなげる必要があります。厳しい意見も、商品やサービスを良くするための貴重な情報でもあります。

三つ目は、ライブ配信の運用です。配信者が商品を理解しているか、質問に正確に答えられるかといった点はもちろん、価格・在庫・返品条件などを誤りなく伝えられるかを確認しておく必要があります。ライブは編集できないため、想定問答やNG表現などの運用ルールの準備と、当日の対応が重要です。

まとめ

レビューマーケティングは、利用者の評価や感想を、購入を検討する人の判断と、企業の商品・サービス改善に活かす考え方です。

ライブコマースは、動画を生配信し、視聴者とコミュニケーションを取りながら商品を紹介・販売する方法です。録画動画とは異なり、その場の質問に答えられる双方向性があります。

企業が一方的に魅力を伝えるだけでなく、利用者の体験を共有し、購入を検討する人の疑問に答え、納得して選べる環境を整える。これからの販売では、このような信頼を積み重ねる取り組みが重要になります。

このシリーズもいよいよ次回が最終回です。ここまで、AIやセキュリティ、情報発信やデジタルマーケティングなど、さまざまなDXの用語を見てきました。最後は、それらを企業としてどう進め、どのような人材を育てていくのかを考えます。

ポイント

レビューマーケティングは、利用者の体験を販売と改善に活かす考え方

ライブコマースは、配信者と視聴者が双方向でやり取りしながら販売する方法

良い情報だけを見せず、関係性や条件を明らかにする透明性が重要

理解を深めるためのもう1Step

最近、レビューを読んで購入した商品を一つ思い出してください。

「どのレビューが判断に役立ったか」「購入前に何を質問したかったか」を書き出してみましょう。

その二つを考えると、レビューとライブコマースが果たす役割の違いが見えてきます。

この記事の著者

DXビジネスアンバサダー

岸 晶子

きし あきこ

この記事の著者

都市銀行勤務後、出産を経て専業主婦に。3人の子育てが一段落した際にデジタルリスキリングを実施。その経験を活かしDXビジネス教育に関するコラム記事や大学向け教材作成などを手がける。