eラーニングマガジンに関するお問合せ、ご質問等は下記までご連絡ください。
eラーニングマガジン編集部

elmag2@nextet.net

特集1:あなたが変える! “仕事”の意識を変革する連載 会社を動かすコンサルタント思考術(2)
経営コンサルタント 小泉 雅史(プロフィール

 第二回:仕事の達人になる。秘訣はメカニズムの理解と視点の高さにあった


 コンサルタントはよく「企業の変革者」と言われます。迅速に経営上の問題を洗い出し、深く分析し、トップにプレゼンする――。なぜ彼らがさまざまな問題に果敢に取り組み、短期間でクライアントを納得させる解決策を提示できるのか。それは、「視点」と「思考の流れ」にあります。本連載「会社を動かすコンサルタントの思考術」は、仕事上のさまざまな問題をコンサルタントはどのように捉え・考えていくのか、その思考術を解説して、読者が「会社を動かす変革者」になるためのスキルを効率的に身に付けられるようにしていきます。


■業務上の問題例
 食品メーカーM社のマーケティング部長Fは、来期の新商品企画のための市場調査を部下であるCさんに依頼しました。「来月の部長会で調査結果を発表したいんだ。最近成長が著しい機能性食品について調べてもらえないかな。」
 Cさんは、さっそくインターネットを使って調べることにしました。成長分野だけあって多くの情報がヒットします。Cさんはヒットしたページにくまなく目を通しました。結構な時間がかかってしまいましたが、悩んだ末、過去のヒット商品の視点から売れた理由を分析し、まとめることに決めました。一通りまとめ終わったところで、F部長に報告すると、「うーん。視点が違うな。僕が知りたかったのは、ヒット商品だけではなく、市場動向や顧客属性・ニーズ、競合動向等全体のマーケットの状態なんだ。その上で商品レベルに落とし込んでいきたい。その視点で至急まとめなおしてくれないか。」

■問題を捉えるコンサルタントの視点
 日常誰もが取り組んでいる「仕事」。しかし、その「質」にはかなり違いがあるようです。「付加価値の高い仕事をしろ!」とマネジャーが部下に言ってみたものの、本当に価値の高い仕事とは何かと部下に問われたとき、あなたはいったいどのように答えますか?

 「付加価値の高い仕事」を知るには、まず、仕事の価値について考える必要があります。ヒントは「仕事のメカニズム」にあります。コンサルタントがさまざまな問題をいとも簡単に解決していけるのは、常にこの"メカニズム"つまり仕組みについて、深く捉えようという真摯な態度があるからです。何事もその仕組みを理解することで、初めて改善の糸口を探すことができるのです。
 それでは、仕事のメカニズムとはどのようなものでしょうか。ここで分かりやすくするために、仕事を「処理」と捉えてみます。つまりコンピューターのCPUと同様です。すると良い仕事とは、「最小のインプットを正確かつ迅速に低コストで処理することで最大のアウトプット得る」と定義できるのです。このように考えることができると仕事の達人になれる可能性がだいぶ高まります。つまり、「インプットの絞込み」「処理技術の向上」「アウトプット価値の最大化」に分けて、それぞれについて考えていけばよいのです。

 まずインプットの絞込みですが、そもそもインプットとはアウトプットを得るために必要な素材、つまり情報やデータといえます。生産現場では、まさに原料でしょう。インプットを最小化するとは、必要最低限の情報量(原料)に絞り込むことを意味します。ところがインプットを的確に絞り込むためには、まずアウトプットを先に考える必要が出てくるのです。なぜならば、アウトプットつまり今回の問題例というと「調査結果」のことですが、アウトプットが事前に決まれば、必要な情報はその関連情報のみに絞り込めるからです。

 では、最大価値のアウトプットを決めるにはどうしたらよいのでしょう? ここで新たな視点について考える必要があります。仕事の達人になるためのもう1つの重要な視点、それは「クライアントニーズ」です。あらゆる仕事には依頼主、つまりそのサービスの提供先であるクライアント(社内では上司や関連部門)が存在します。仕事のアウトプットは、このクライアントの期待に十分応える必要があるのです。これが価値の高いアウトプットの秘訣です。どのような背景のもと、何を、いつまでに、どこで、誰と共に、どのようなフォームで作成するのかについて、仕事に取りかかる前に念入りにクライアントとすり合わせをすることが肝心です。このクライアントニーズのコントロールさえしっかりしておけば、必ず評価される価値の高い仕事ができるでしょう。今回の問題例では、Cさんは、この事前のすり合わせがないまま作業に入ってしまったために、上司が期待するアウトプットを理解せずに、視点の違う報告をしてしまいました。

 ちなみに期待に応えるとはどのような状態を言うのでしょう? 期待値を100%とすると、100%以下では期待に答えているとは言えません。逆に200%答えても、いつもホームランを打ちつづけることは難しいでしょう。期待に応えるコツは常に120%ぐらいを目標とすることです。これを続けられればクライアントを常に満足させることができるのです。以下に仕事のメカニズムについて図で整理してみました。仕事の達人になるには、「インプット」「処理プロセス」「アウトプット」「クライアントの期待」のフローを理解し、最大限効率化していくことが必要なのです。



next
 
Copyright©2005 Next Education Think.All Rights Reserved.
掲載の文章・画像の無断使用・無断転載を禁止します。
特集1:あなたが変える! “仕事”の意識を変革する連載 会社を動かすコンサルタント思考術(2)
(2)
   
特集2:〜NEC パートナービジネス推進本部 山崎氏が語るITSS人材育成戦略の端緒〜 NEC、「ITSS:レベル3」スキル取得スローガン提起!
   
特集3:より実践力が求められる資格へとリニューアル 「XMLマスター」の新試験が2005年6月1日よりスタート!
   
特集4:現場の事例で学ぶマネジメント連載 ヒューマン・マネジメントのテクニック(7)