人間力講座

【連載「人間力講座」その3】
「人間力」に「男女差」「年齢差」はあるのか

 人間力講座
執筆:ネクストエデュケーションシンク 代表取締役 斉藤 実 いま企業のリーダーに必要な能力として「人間力」が注目されています。 この「人間力」という言葉は、ビジネスシーンだけでなく政治やスポーツ、芸術など、様々な分野でも言われ、「優れたリーダー達が持っている高い人間性からなる能力」という広い意味で使われています。 ここでは、企業の経営者や役員、幹部、事業部長、部長、課長、マネージャという部下をお持ちのリーダーの方々が備えているべき「人間力」にフォーカスしてお話ししたいと思います。

「人間力」における男女の差とは

「人間力」は、前回からの考察によって、総合的なコンピテンシー(成果を上げる行動特性)と、資質や性格、価値観などが渾然一体となった「人間性」の魅力であり、部下を率いる組織のリーダーには必須の能力であることをお伝えしました。
組織で周りから高く評価される「人間力」とは、「売上が高い」とか、「技術力がある」「金持ちである」「頭が切れる」「立派な学歴をもつ」「資格がある」「ネゴがうまい」「処世が上手」などとは、異なる次元の「人間性」の魅力といえる能力なのです。

「人間力」が高い人の特徴とは、例えば、信頼できる人/誠実な人/責任感がある人/器の大きい人/ビジネスを創れる人/リーダーシップがある人/正しい決断ができる人/先見性がある人/洞察力がある人/広い見識がある人/人に優しい人/頼れる人/高い志や理想をもっている人/思いやりがある人/人情がある人/知性や知恵が高い人/人の話を傾聴できる人/ついて行きたいと思う人/人を育てる人/部下の面倒見がいい人/人を助ける人/社会や人のために動く人……、などがあげられます。

では、女性の社会進出が重要課題となった現在、ビジネスを推進する上で、「人間力(総合コンピテンシー)」に、男女の差はあるのでしょうか。

企業の統計データの全体平均から見てみると、一般的に、年齢にかかわらず、女性は男性に比べると、業務を推進する「テクニカルスキル」が強く、また「誠実さ」や「情熱」「共感力」などが高く出ます。
しかし男性は女性に比べて、「リーダーシップ」や「本質を見極める力(洞察力)」などが高く、「コンセプチュアルスキル」に強みがあります。どちらか一方が優れているのではなく、それぞれによい特徴があって社会では相補完していると言えます。

年齢における「人間力(コンピテンシー)」の差は

企業の全体平均(20代以上の社員)から見る限り、まだ社会に出ていない新入社員が低いのは別として、その後の年齢別ではあまり差が出てこない傾向があります。

「人間力(コンピテンシー)」は他者や社会との関わり、仕事の中で後天的に育成されて身に着けるものであり、主体的に自らを成長させる機会を失していた人は、年齢が上がって行くだけでは「コンピテンシー(成果を上げる行動特性)」は自動的についてくるものではないことが推測されます。

「人間力」はいつ頃から形成されるのか

私は中学生、高校生、大学生から、企業の新入社員、中堅社員、管理職、幹部、経営者まで、年代で言えば10代から80代くらいまで、年齢や役職を超えて大勢の方々の「適性・資質」や「人間力」の現状を分析してきましたが、そこから見えてきたことがあります。

それは中高生の頃に、自我(アイデンティティ)が形成されると同時に、それぞれの資質・性格・個性に合わせた特徴的な「人間力」が培われていくということです。
この年齢では、性格、コンピテンシーは毎年大きく変化していきながら自己形成をします。その中で自身の個性や性格・資質のベースが元々どういう形であるのか、そして自己と他者、社会との関わりの中で、意識的に自己を目標に向かって成長させてきたかどうかが、「人間力(コンピテンシー)」の獲得には重要な要素であると気付きました。

家庭の中にもすでに小さな社会がある

家族の中で父親、母親、兄弟姉妹にも、それぞれがDNA由来の異なる性格・個性を持っており、子どもがその家族と共に生活する小さな社会の中でも、すでに独自の行動特性が芽生えて確立されていきます。
そこで培われた行動特性や意識が、いまの時代にマッチしていれば、社会に出て成果を上げる可能性が高いと言えます。しかし、そうでない場合は、自己のもつ強みや特徴がうまく発揮されず、本来長所であるべき「人間力(コンピテンシー)」が身に着けられないままとなるかもしれません。

小中高生の頃の、家庭の中での自己成長の段階からすでに、これからの社会で成功するための重要なコンピテンシーセットの構成時期に入っているとも言えます。

つまり「人間力(コンピテンシー)」=「ビジネスで高業績を上げる行動特性(コンピテンシー)セット」と定義をすると、それを鍛えて身に着けるスタートは、人は多様であることを学び、中高生の頃からの、両親、兄弟、家族との関わりからです。その中で自我を形成して成長し、学校でさらに他者と自己との違い、社会を体験することで、社会性や人間性を作り、自己の意識、価値観を作ります。

そして社会に出て実際に仕事やビジネスを行う中で、「ビジネスで成果を上げる行動特性(コンピテンシー)」を身に着けて、組織で実績をあげながら、より高い「人間力」を身に着け、実力と自信をつけ、社内の上司や同僚、部下や取引先などからも高い人間性が評価され、組織のリーダーになっていくことになります。その際の、周りの人が見ている評価基準こそが、「人間力(コンピテンシー)」であると言えましょう。
ここに焦点を絞って社員を育成していくことが、業績を上げる社員を育てることであり、それは、企業が成長発展することに繋がります。

DX(デジタルトランスフォーメーション)時代のビジネスの変革・価値創造が必要となった今こそ、まさに「企業は人なり」の時代であり、企業がDXビジネスでも大きな成果を継続的に上げるうえで重要なポイントとなるでしょう。

※DX(デジタル)手法で「人間力」の科学的・総合的な可視化が可能な「人間力診断™」については、詳しくはこちらの情報も参考になると思います。

著者紹介

斉藤 実 (さいとう みのる)

株式会社ネクストエデュケーションシンク 代表取締役

哲学教育系雑誌編集長を経て、アスキー入社。PC技術マニュアル編集長、教育メディア編集長を経て、科学的な人財育成・DX手法の人財アセスメント開発会社のネクストエデュケーションシンクを起業し、代表取締役。

「本郷人間塾™」理事長。日本イノベーション融合学会専務理事。ITSS認定コンサルタント/能力診断開発コンサルタント/人財育成コンサルタント/認定診断分析マスターアセッサー

 

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